II.復興特別所得税は少し面倒です

東日本大震災からの復興の財源確保のため「復興特別所得税」「復興特別法人税」が課されることに なりました。 これにともない各種手続きにおいて注意点が必要となっています。 【給与計算】 平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に支払う給与については所得税とともに復興特別所得税 (所得税額×2.1%)も併せて源泉徴収しなければなりません。 【源泉所得税の納付】 源泉所得税を納付する際には所得税と復興特別所得税の合計額を納付することとなります。 納付書については所得税と復興特別所得税の合計額を記載します。また、税理士や弁護士に支払う報酬 についても所得税に併せて復興特別所得税を源泉徴収することとなっていますので納付書記載の際には 注意が必要です。 【予定納税】 平成25年から平成49年までの各年分の予定納税基準額は、所得税及び復興特別所得税の合計額で計算 します。 予定納税基準額が15万円以上である方は、所得税及び復興特別所得税の予定納税をすることになります。 【確定申告】 平成25年から平成49年までの各年分の確定申告については、所得税と復興特別所得税を併せて申告しな ければなりません。 【年末調整】 所得税の年末調整をする場合には、所得税及び復興特別所得税の年末調整を併せて行うことになります。 【法人税】 法人については平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の 日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度については、法人の各事業年度の 所得の金額に対する法人税の額に10%の税率を乗じて計算した「復興特別法人税」が課せられます。 利子など一定の所得に課された「復興特別所得税」の額などがある場合には、「復興特別法人税」から 所定の金額を控除した後の金額を納付することとされています。また、「復興特別法人税」の額の計算 上控除しきれない「復興特別所得税」の額がある場合には、その還付を受けるための申告書を提出する ことができます。 なお、「復興特別所得税」の額は「復興特別法人税」の額から控除することとされているので、法人税 の額から控除することはできません。 「復興特別法人税」の課税期間は上記の3年間ですが「復興特別所得税」の課税期間は平成25年から平 成49年の25年間であるため「復興特別法人税」の課税期間外であっても、控除をされるべき「復興特別 所得税」の額があるときは、復興特別法人税申告書を提出することにより、その復興特別所得税の額の 還付を受けることができます。 それにしても所得税額の2.1%という微妙な割合。復興特別所得税の計算をするのも結構面倒です。 政治的な配慮はあっても実務についてはあまり考慮していないのでしょうか。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所 ブログ:税理士 ときどき ランナー