II.馬券配当に課税?!
今年は例年より桜の開花が早かったようです。桜といえば以前は「入学式」というイメージでしたが、
いつの頃からか「卒業式」のイメージになってしまいましたね。
卒業、入学、退職、就職、転勤・・・
3月から4月にかけては人生の節目となる出来事がたくさんおこります。
税制についても3月から4月にかけて、さまざまな改正が行われます。
この改正が、日本が元気になる節目となればいいのですが。
さて、今回は税金に関する最近の気になったニュースについて私なりの感想です。
そのニュースというのは競馬の配当による所得を確定申告しなかったとして所得税法違反に問われた裁
判のニュースです。
元会社員の男性は2007〜09年に馬券購入に計約28億7000万円をつぎ込み、計約30億10
00万円の配当を得ました。
国税庁はこの配当にかかる所得について約17億円とし男性に対し所得税約6億8000万円、無申告加算税
約1億3000万円の課税処分を行いました。また単純無申告犯として検察庁に告発しました。
一方、男性は自分の所得は役1億5千万だと主張しています。
なぜ、こんなにも両者で所得金額に相違があるのでしょうか?
国税庁は通達で、競馬の配当を「一時所得」に分類し、必要経費として控除されるのは当たり馬券購入
額だけとしています。
1レースで、いろいろな馬券を1万円ずつ100種類買って、その中のどれかが101万円の当たり馬
券になったとします。この場合普通1万円のもうけと考えると思うのですが国税庁は当たり馬券の購入
費は1万円だけなので100万円の収入があったとみなすのです。
国税庁の主張を受け入れると、年間の当たり馬券の配当から当たり馬券の購入金額を引いた額が50万
円以上(一時所得は50万円を引いた金額を2分の1した金額について課税されます。)の人は、たと
えはずれ馬券を何百万円と買っていて差し引き赤字になっていても課税されることになります。これで
は競馬は儲けがでても損をする仕組みになってしまいます。
そもそも、競馬の馬券の売上げについては国庫に10%納付されているのだから、当たり馬券について
さらに一時所得として税金を納付しなさいというのは税金の二重取りのようなものだと思います。
また、実際には当たり馬券について国税当局の見解に基づいて確定申告をしている人はほとんどいない
と思われますし、国税局も積極的に調査をしているわけでもないようです。
これでは課税の公平性が失われてしまうとも思います。
また、担税力に応じた課税という面からも違法性が疑われます。
男性も裁判で、外れ分を含む馬券の購入総額を経費として認めるべきだとし、また、JRAからも納税
注意喚起はなかったとして無罪を主張しています。
判決は5月23日に言い渡されます。