II.復興予算の使い道
25年前の10月19日といえば、ニューヨーク株式市場で株価が大暴落したブラックマンデーを思い
出します。この暴落は世界中に波及し、翌日の日本市場でも株価が大暴落したことがこの時期になると
鮮明に蘇ります。当時の日本はバブル景気の始まったころであり、その翌々年の年末には日経平均株価
が4万円に迫る勢いで史上最高値を記録しました。その後バブルは崩壊し、失われた10年とも20年
とも呼ばれる時代に突入しました◆さて、最近大きく報じられ批判されているのが東日本大震災の復興
予算の流用とも思える問題です。「税こそ政治」という言葉がありますが、まさにこのことのためにあ
るような印象さえ持ちます◆まず、この予算の財源として「復興増税」が行なわれます。特に、個人所
得税については来年から25年間という長期にわたって行なわれることになっています。個人的にはも
ともと、この「復興増税」については反対の立場でした。その理由は長くなりますので省略しますが、
建設国債に準じた国債発行で対応すべきという主張です◆次は、その予算の使い道についてです。報じ
られている限りでは、かなり疑問なものが見受けられます。衆院決算行政監視委員会の新藤委員長も、
「個々の事業は法律や制度上問題はないが、増税をした復興予算をあてるべきかは国民感情からも疑問
がある」と指摘しています◆さらには、テレビの討論番組の中で、平野復興相も「一定のものについて
は理解を得られる」としつつも、「個々の予算で見た場合、いかがなものかというものもないわけでは
ない」と発言しています◆一方、被災地を代表して討論に参加した村井宮城県知事は「増税をして、国
民全体に負担をお願いしているので云々」と一定の理解は示すものの、「やはりこういった使い道によ
り被災地に予算が回らなくなるのではないかを懸念する」旨の発言がありました◆今後の課題としては、
復興予算の使い道についての精査が当然必要でしょうし、いくら法律や制度上問題がないとはいえ、歯
止めをかける規定を設けておく必要があるでしょう。増税があったからこそ、この問題に批判が集まっ
たというのはなんとも皮肉な話ではあります。