I.終身がん保険が全損から半損に

平成24年4月27日に法人契約の「がん保険」(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについてという通達が国税庁 からだされました。 これまで法人契約の終身がん保険は満期返戻金がないことから保険料を全額損金算入(全額経費として計上するこ と)する事が認められていました。 一方、保険期間の前半に中途解約をした場合多額の返戻金が戻ることから、実際には節税用商品として販売される 例も多くありました。とくに、逓増定期保険が通達の改正で全損商品でなくなってからは、そのニーズが高くなっ ていました。 しかし、多額の返戻金があるということは、実際に払っている保険料のうち、相当の部分は前払保険料であること になりますから、国税庁もその取扱いについて見直しを行ったものです。 国税庁は2月29日にパブリックコメントの募集を開始し、3月29日に募集を締め切りました。 パブコメでは全損のままとすべき、4分の1損金とすべき等の意見も見られましたが、大方の予想どおり保険期間 の前半部分については保険料の2分の1を損金算入することとなりました。 なお、平成24年4月26日までに成立しているがん保険については、今後も従前の全額損金の取扱いのままでか まわないこととされています。 通達が出された平成24年4月27日以降に成立した契約については、2分の1損金となります。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所

II.「貿易立国」からの変貌

貿易収支が昨年、31年ぶりに赤字になったことに続き、年度ベースでも過去最大の赤字だったことが報じられま した。ただし、経常収支は黒字を維持しています。貿易収支の赤字を大きく報じた背景の一つには、今後もこの状 況が続くかもしれないという懸念です。この赤字が継続すれば、現在は国内でほぼ消化されている日本国債が消化 できなくなり、国債の信認も低下するのではないかということを危惧しているわけです◆国債の信用が低下すると どうなるのかという点については、前号で少し考えました。冒頭で触れたように貿易収支は赤字だったかもしれま せんが、経常収支は黒字を維持しています。私はこの事実が意味することの方が重要だと思っています。そもそも 貿易収支の赤字が定着したわけでもありません◆財務省などの統計によれば、日本の経常収支の中身が大きく変わ っていることがわかります。数年前までは、経常収支の黒字は貿易収支の黒字で支えられていたものが、近年では 所得収支の黒字が貿易収支の黒字を上回るようになってきた点に着目すべきでしょう。少し大げさな表現かもしれ ませんが、わが国は「貿易立国」から「投資立国」へと変貌を遂げたとも言えそうです。海外投資の果実が対外収 支を支えるという構造はほぼ定着したといえます◆中身こそ違えども経常収支の黒字が継続して維持されていると いうことは、日本経済全体では資金超過が継続していることに他なりません。この資金超過の構造も家計から企業 へと大きく変化はしているものの、家計や企業の資金が莫大な財政赤字を抱える政府の資金不足を支えているとい うのが、現在のわが国経済の資金循環の構図であることには変わりありません◆問題はこの構図が持続可能なのか ということに尽きるでしょう。その持続可能性に関する議論を否定するつもりはありませんが、とにもかくにも持 続可能な仕組みを構築するしか方法はありません。そのためにも、財政問題の本質を見誤ってはならないのです。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

III.輝くメダルを日本へ!!

いよいよロンドン五輪へのカウントダウンが始まりました。活躍を期待する選手は人それぞれだと思いますが、 「強い」という言葉がこれほどしっくり来る人は他にいません。 その人とは、女子レスリングでオリンピック三連覇のかかる吉田沙保里選手です。 何でも、彼女のお母さんによれば「沙保里」という名前は南沙織さんと河合奈保子さんから一字づつ拝借したとの こと。真偽のほどは不明ですが。 そんな彼女ですが、恋愛となるとチョッと勝手が違うようです。 なでしこジャパンの澤選手に相談してアドバイスをもらったというお話はあまりにも有名です。レスリングと同じ ように「押したり引いたりの駆け引き」はどうも苦手なようです。 もっとも彼女の一番の武器は超高速タックルからの怒涛の攻撃ですから、もしかすると駆け引きはあまり必要ない のかもしれませんが。 そうそう、女子レスリングといえばこちらも三連覇のかかる「カオリン」こと伊調馨選手もいます。 両選手とも、絶対に一番輝くメダルを日本へ持って帰ってくれるはず。応援にも北京五輪以上に力が入りそうです。

(覆面ライター 辛見 寿々丸)

IV.経理のプロを目指そう (2)

GWも終わり、生活のペースも落ち着いてきたころではないでしょうか。 前号では「経理のプロ」を目指そうという提案とともに、経理の仕事は長く続けることのできる、やりがいのある 仕事だとお話させていただきました。 経理業務とは、会社の儲けとお金の残り方を正確かつ迅速に計算・報告・管理することであり、その仕事をスケジ ュール通りに進めていくためには、時間管理に強くなる必要があります。非生産的な時間を排除し、経営者へのフ ィードバックや会社の財産の管理などに時間を割くように努めることが重要です。 そのためには、1ヶ月の仕事のスケジュールを確立すること、まず月初に当月やるべき事柄を計画することから始 めます。その際、日常業務や雑用の時間を工夫して減らしていくようにし、重要な業務に時間を割けるようにする ことが大切です。 つまりPDCAの習慣化です。計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)念頭に置 き、着実に繰り返すことが業務の改善促進につながっていくのです。 時間管理は、どの仕事においても基本的な習慣とすべき重要な事柄です。PDCAを常に意識し、いつでも実行で きるよう頑張りましょう。

(企業会計アドバイザー 米山 裕子)

V.インターネットで決算公告

株式会社は、各種の情報を公告することが法令で義務付けられています。 決算公告に関しては、会社法第440条に「株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後 遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。」とありま す。 公告の方法として (1)官報に掲載 (2)日刊新聞に掲載 (3)電子公告 のいずれかを定款で定めることができます。 インターネットで決算公告を行う場合は(3)になります。 決算公告用のホームページは,他の公告事項とはリンクのない別のアドレスのものを登記することができます。 また、会社の公告方法を官報または日刊新聞に掲載としている場合も、決算公告のみをホームページに掲載するこ ともできます。この場合には、貸借対照表等が掲載されるホームページのURLを登記する必要があります。 決算公告は義務とはいえ、会社の信用度を高めるものになり得ると思います。インターネットでの決算公告は官報 や日刊新聞よりも低コストで多くの方に見てもらうことができます。定款の変更、掲載方法などわからないことが ありましたらご相談ください。

(Webデザイナー 三嶋 由紀江)