IV.無対価合併の適格判定における注意点 その二
前回は、組織再編成税制のうち無対価合併の税制適格要件について触れました。 今回はその具体的要件と注意すべき点について触れてみます。 この無対価合併の税制適格の要件は次の四つの場合に限定されています。 @合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係 A一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係 B合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係 C被合併法人及び被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係 ここで注意が必要なのは、Aの「一の者」です。この「一の者」とは、法人の場合は単一の法人ですが、個人の場合 にはその個人ただ一人を指し親族その他の同族関係者は含まれません。 例えば、兄が100%直接保有するA社を合併法人、弟が100%直接保有するB社を被合併法人として、無対価合併が行わ れた場合、A社とB社との間には、この兄弟を「一の者」とする法人相互の完全支配関係がありますが、単独である 「一の者」が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係にはないため非適格となります。(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)