I.平成23年分確定申告

今年も確定申告の時期がやってきました。 各地の税理士会では、地区センターなどで無料相談会を行っています。対象は小規模な事業者の方や、年金・給与 収入のみの方です。 中規模以上の事業者の方や、譲渡所得などの確定申告については無料相談会での短時間のご相談だけでは、的確な アドバイスができない場合もありますので、お近くの税理士事務所へご相談ください。 <今年の確定申告での主な改正事項> 1.年金所得者の申告不要制度 公的年金等の収入金額が400万円以下でかつ公的年金等以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告 書の提出が不要になりました。 ただし、還付金がある場合には申告書を提出することもできます。 また、所得税の申告が不要な場合でも、次にあてはまる人は住民税の申告が必要になります。  @公的年金等に係る雑所得のみがある方で、「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている控除(社会保険料控   除や配偶者控除、扶養控除、基礎控除等)以外の各種控除の適用を受けるとき  A公的年金等に係る雑所得以外の所得があるとき 2.認定NPO法人等寄付金特別控除の創設 認定NPO法人に対する寄付金については所得控除と税額控除の選択適用となりました。 3.扶養控除の改正  @満16歳未満の者の扶養控除が廃止になりました。  A16歳以上19歳未満の者に対する扶養控除の上乗せ部分(25万円)が廃止されました。  B同居特別障害者の控除額が70万円になりました。 4.特別還付金の支給制度 相続人等が年金として受給する生命保険金のうち、相続税の課税対象となった部分については、所得税の課税対象 にならないとする最高裁判所の判決を受けて、平成12年分以後の各年分について、納めすぎとなっている所得税に 相当する額を特別還付金として支給する制度が創設されました。 なお、詳細は国税庁HPまたはお近くの税理士事務所にお問い合わせください。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所

II.混迷深まる社会保障制度改革

近年よく耳にする言葉の一つにクール・ジャパンという言葉があります。クール=冷たいではなく、クール=かっ こいいという意味ですから「かっこいい日本」ということになります。ちなみにスマートフォンのスマート=賢い という意味ですから、「彼はスマートでクールだ」は「彼は賢くてかっこいい」ということになるのでしょうか? ▲「社会保障と税の一体改革」。すばらしいテーマであるとともに、そのネーミングセンスもなかなかのものです。 しかしながら、社会保障についての改革は先送りし、消費税増税の議論が先行している感は否めません。特に、社 会保障のうち年金制度についてはさらに混迷を深めています▲年金制度に対する国民の不信感は個人の経済活動の 巣ごもり状態を加速させます。特に、若い世代には将来の年金受給額や受給開始年齢がわからないわけですから、 今後の生活設計をどうしたら良いのか頭を悩ませる大問題です▲相手が民間保険会社であれば契約不履行に相当す るのでしょうが、公的年金はそうも行きません。なぜなら、公的年金は国家と国民との約束ではあるけれども、厳 密な意味での契約ではありません。保険会社の選択は可能ですが、この国で暮らす限り国家を選択することはでき ません▲今現在でも、試算の前提となっている統計や数値の多くが疑問であり、その目標設定の甘さは明白です。 結果として、国民の不信感を増長させ、その信頼はさらに低下してしまいます▲信頼できない公的年金制度であれ ば、国民の多くが保険料を納めたくないと思い、老後の備えは自分自身で行わなければならないと考えるのがもっ とも健全な行動です。皮肉なことですが、とにかく自己防衛を続けるしか方法はありません▲現行制度のままでは、 一人ひとりが老後の備えに収入の多くを費やす結果、個人消費は低迷するでしょう。わが国は個人消費がGDPの 約60%を占めています。経済成長を目指すといってもこの個人消費が低迷してしまえばそれどころではありませ ん▲私自身、年金制度そのものが破綻すると思っているわけではありません。問題はその不安定さです。最悪の想 定でも構わないから、信頼に足るものが必要です。将来がまったくわからないよりははるかにましだと思うのですが。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

III.財務省公式アカウントをフォローする

Twitter上にある財務省の公式アカウントは、財務省(MOF_Japan)、国税庁(nta_eTax)、財務局(東日本大震災関連 情報)(LFB_JPN)、国債(kokusai_sensei)、税関(Custom_kun)です。 各アカウントの主なツイート内容を簡単にご 紹介します。  財務省:国会で行われる質疑や財務大臣の行動予定のほか「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」のよう      な数字について、また職員募集のお知らせ等。  国税庁:確定申告のキャンペーンイベントの予定や国税庁動画チャンネル(YouTube)更新の告知、税率の変更の告      知等。  財務局:東北財務局を中心に、金融相談窓口開設の告知等。  国債 :いろいろな種類の国債の紹介や、個人向け国債の金利の決定の告知等。  税関 :ワシントン条約に関することなどの関税の基礎知識、通報してほしい違法行為の内容、貿易に関する統      計値等。 基本的にはホームページに掲載されている情報ですが、タイムリーに受け取ることができますので必要に応じてフ ォローしてみましょう。

(Webデザイナー 三嶋 由紀江)

IV.無対価合併の適格判定における注意点 その二

前回は、組織再編成税制のうち無対価合併の税制適格要件について触れました。 今回はその具体的要件と注意すべき点について触れてみます。 この無対価合併の税制適格の要件は次の四つの場合に限定されています。  @合併法人が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係  A一の者が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係  B合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が被合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係  C被合併法人及び被合併法人の発行済株式等の全部を保有する者が合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係 ここで注意が必要なのは、Aの「一の者」です。この「一の者」とは、法人の場合は単一の法人ですが、個人の場合 にはその個人ただ一人を指し親族その他の同族関係者は含まれません。 例えば、兄が100%直接保有するA社を合併法人、弟が100%直接保有するB社を被合併法人として、無対価合併が行わ れた場合、A社とB社との間には、この兄弟を「一の者」とする法人相互の完全支配関係がありますが、単独である 「一の者」が被合併法人及び合併法人の発行済株式等の全部を保有する関係にはないため非適格となります。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)

V.消費税増税案

政府与党は一体改革素案で消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げる方針を決めました。 消費税増税に対しては民主党内でも意見が分かれており、世論の賛成を得るには厳しい状態です。 円高に続き、震災の影響も残っている中、日本の景気はまだ回復が見込めていません。 その中で消費税増税は家計に大きく負担がのしかかってきます。 国民が納得する説明を望みます。 海外ではユニークな税金があります。 ハンガリーでは肥満防止を目的にお菓子類への課税、肥満防止税があります。 ハンガリー政府は「国民の健康のため」とし、88億円の税収を見込んでいるようです。 またブルガリアでは独身者に課せられた税金で独身税がありました。人口減少に歯止めを掛けるために、20歳以上の 独身者に収入の3〜 5%を納めさせたようですが、あまり効果はなく20年ほどでなくなったそうです。 日本でも昔おもしろい税金がありました。賦計石と名付けられた高さ143cmの石よりも身長が高い男からは粟などの穀 類を、女からは布を納付させた、通称身長税があったそうです。 公平な税負担の実現に向けて多くの知恵を出し合い、将来に負担を押しつけない案を提示してもらいたいですね。

(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)