II.「政局より大局」
「政局より大局」と消費税増税を呼びかけるのは、おやじギャグの大家?としても有名な野田首相。しかし、野党
の反発が強いうえに世論の支持もなかなか得られないようです▲そんな中、首相は世論に配慮して増税の前に国会
議員定数削減や公務員人件費の削減を進める決意を示し3月末の法案提出を目指しています。増税の前にまず身を
削るのは当然としても、どうして世論の支持が得られないのか。一番の理由は消費税増税についての説明不十分だ
からではないでしょうか▲政局より大局というのであれば世論に一定の配慮は必要かもしれませんが、国民を説得
する気迫が必要です。この課題について何度となく議論を繰り返してきました。いったいいつまで結論を先送りす
るのか。将来の消費税増税が避けられないことは多くの国民が感じていることだと思います▲話が前後しますが、
まずわからないのは、将来も税率が10%のままなのかという点です。今後5年をめどに次の改革を実施するとい
う見直し規定についての詳しい説明がありません。ある国際機関は現状でも最低15%、将来的には状況によって
20%程度は必要と指摘しています▲次に、社会保障と税の一体改革により国庫に入る税収の全額を年金、医療、
介護、少子化対策にあてるとなっています。しかし、国家の財政再建という視点からは必ずしもその位置づけがは
っきりしません。財政健全化という目標達成には他の課題も山積です▲さらに、低所得者に対する配慮です。消費
税は常にその逆進性が問題となりますが、その対策として給付つき税額控除の導入を検討することになっています。
ただし、この制度の導入には社会保障と税の共通番号制度の定着がその前提となるはずです▲社会保障の面から考
えると、現行の制度のままで持続可能なのでしょうか。例えば現在の年金制度のように現役世代が年金受給世代を
支えるという仕組みを見直すべきです。これ以上現役世代の負担を重くすることは無理です。というより止めるべ
きです。しかしながら、現行の制度のマイナーチェンジで進んで行きそうです▲まだまだたくさんあります。ただ、
政治にその責任をすべて転嫁するのも無責任です。昨年の東日本大震災により自助・共助の大切さや力強さを経験
しました。私自身も社会貢献という意味を改めて痛感しました。国のやるべきこと、地方あるいは地域のやるべき
こと、そして私たちがやるべきこと、その一つ一つを大きく見直す時期が来ています。