IV.消費税法の事業者免税点制度の見直し
平成23年度の税制改正において、消費税の事業者免税点制度の適用要件が見直されました。 この事業者免税点制度とは、中小事業者の納税事務負担などに配慮して、その課税期間の基準期間における課税売上 高が1千万円以下の事業者については、その課税期間の課税 資産の譲渡等について、消費税を納める義務が免除され る制度です。 基準期間とは、個人事業者の場合は、その年の前々年、法人の場合は、その事業年度の前々事業年度です。 新たに設立された法人の場合には、基準期 間が存在しないため、設立1期目及び2期目は 原則として免税事業者とな ります(資本金の 額又は出資の金額が1千万円以上の新設を除 きます)。 今回の改正により、その課税期間の基準期間における課税売上高が1千万円以下であっても、その課税期間の特定期 間の課税売上高が1千万円を超えた場合、その課税期間から課税事業者となります。 なお、課税売上高に代えて、所得税法に規定する給与等支払額の合計額により判定することもできます。 特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間、法人の場合は、その事業年度 の前事業年度開始の日以後6ヶ月の期間です。 特に注意が必要なのは、新たに設立された法人の場合です。改正前は、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者 となりましたが、改正後は、設立1期目の開始の日から6か月間で課税売上高が1千万円を超えた場合には、2期目は課 税事業者となります。 なお今回の改正は、平成25年1月1日以後に開始する年又は事業年度から適用されます。 6か月間の判定期間は平成24年1月1日から始まります。(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)