IV.消費税法の仕入税額控除における             95%ルールの見直し その4

今回は、控除対象外消費税額等の法人税法上の取扱いについて触れます。 この控除対象外消費税額等は、その課税期間中の課税仕入等に係る消費税額のうち、仕入控除税額の計算により控除 できなかった消費税額で、税抜経理方式を採用している場合に仮払消費税等勘定の借方残高として残ります。 これをそのまま損金算入してしまうと税込経理方式を採用した場合と比べ所得金額が異なる場合があるため、調整を 行う必要があります。 税込経理方式を採用している場合には、消費税額は資産の取得価額又は経費の額に含まれますので、特別な処理は必 要ありません。 控除対象外消費税額等の処理は、まず資産に係るものと、資産に係るもの以外のものとで処理が異なります。 資産に係るものは、@からBのいずれかの方法によって、損金の額に算入します。  @ その資産の取得価額に算入し、それ以後の事業年度において償却費として損金の額に算入します。  A 次のイからハのいずれかに該当する場合には、損金経理を要件としてその事業年度の損金の額に算入します。    イ その事業年度の課税売上割合が80%以上であること。    ロ 棚卸資産に係る控除対象外消費税額等であること。    ハ 一の資産に係る控除対象外消費税額等が20万円未満であること。  B @・Aに該当しない場合には、繰延消費税 額等として資産計上し、次の方法によって損金の額に算入します。    繰延消費税額等を60で除し、これにその事業年度の月数を乗じて計算した金額の範囲内で、その法人が損金経    理した金額を損金の額に算入します。    ただし、その資産を取得した事業年度においては、上記によって計算した金額の2分の1の金額の範囲内で、そ    の法人が損金経理した金額を損金の額に算入します。 控除対象外消費税額等が資産に係るもの以外のものは、その全額を、その事業年度の損金の額に算入します。ただし、 交際費等の損金不算入額の規定が設けられているため、交際費等に係る控除対象外消費税額等に相当する金額は交際 費等の額に加算したうえで、交際費等の損金不算入額を計算します。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)