IV.消費税法の仕入税額控除における 95%ルールの見直し その3
今回の改正により、95%ルールを適用できなくなった場合には、その課税期間中の課税仕入等に係る消費税額の全額を 控除することはできません。課税売上割合が95%未満の場合と同様に仕入控除税額の計算を行う必要があります。この 計算は、原則として個別対応方式又は一括比例配分方式により行います。 個別対応方式は、「課税売上にのみ要する課税仕入等に係るもの」+(「課税売上と非課税売上に共通して要する課税 仕入等に係るもの」×課税売上割合)の算式により計算した仕入控除税額をその課税期間中の課税売上げに係る消費税 額から控除します。その課税期間中の課税仕入等に係る消費税額のすべてを「課税売上にのみ要する課税仕入等に係る もの」・「非課税売上にのみ要する課税仕入等に係るもの 」・「課税売上と非課税売上に共通して要する課税仕入等 に係るもの」に区分します。この方式は、上記のように課税仕入等の区分がされている場合に限り採用することができ ます。 一括比例配分方式は、その課税期間中の課税仕入等に係る消費税額に課税売上割合を掛けて計算した仕入控除税額を その課税期間中の課税売上げに係る消費税額から控除します。その課税期間中の課税仕入等に係る消費税額が個別対応 方式のように区分されてない場合又は区分されていてもこの方式を選択する場合に適用します。 個別対応方式又は一括比例配分方式はどちらか有利な方を選択することができます。ただし、一括比例配分方式を選択 した場合には、2年間以上継続して適用した後でなければ、個別対応方式に変更することはできません。 また、個別対応方式又は一括比例配分方式に用いられる課税売上割合は、所轄税務署長の承認を受けた場合には課税売 上割合に準ずる割合とすることもできます。 この仕入控除税額の計算により、控除できなかった消費税額は、税抜経理方式を採用している場合には仮払消費税等勘 定の借方残高として残ります。これを控除対象外消費税額等といいます。この取扱いについては次回触れます。(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)