IV.消費税法の仕入税額控除における             95%ルールの見直し その2

今回の95%ルールの見直しにより、課税売上割合の計算をより厳密に行う必要があります。 95%ルールが適用される場合には、その課税期間中の課税売上割合が100%でも99%でも同様に課税期間中の課税売上げ に係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除できました。 しかし、95%ルールを適用できなくなった場合には、課税売上割合が100%でない限り、その課税期間中の課税仕入れ等 に係る消費税額の全額を控除することはできません。 仕入控除税額の計算は、原則として個別対応方式又は一括比例配分方式により行います。 この仕入控除税額の計算には課税売上割合を用います。 この割合が違えば仕入控除税額は異なります。 結果として納付税額も異なります。 課税売上割合は、総売上高に占める課税売上高の割合です。 分母を総売上高とし分子を課税売上高として計算します。 総売上高は、課税取引(税抜き)と免税取引と非課税取引の合計額です。 課税売上高は、課税取引(税抜き)と免税取引の合計額です。 課税取引は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等で、商品の販売やサービスの提供などによ り消費税が課税される取引です。 免税取引は、商品の輸出売上など外国で消費されるため免税される取引です。 非課税取引は、土地の譲渡や預貯金の利子など課税対象になじまないことや社会政策的配慮から課税されない取引です。 また、不課税取引は国外取引・対価を得ない寄附・単なる贈与・出資に対する配当など、そもそも消費税の適用の対象 にならない取引ですので、分母にも分子にも算入しません。 個別対応方式と一括比例配分方式については、次回触れます。 なお、今回の改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)