I.平成23年度税制改正 所得税編

迷走を続けていた23年度税制改正が6月22日にようやく決着しました。 今回は税制改正の中から所得税に関する主な改正点について取り上げました。 1.年金所得者の確定申告不要制度  公的年金等の収入金額が年400万円以下でかつ年金以外の他の所得の合計が20万円以下の人については確定申  告書を提出しなくてもよいこととなりました。 2.還付申告書の提出期間の変更  所得税の申告義務がある人の還付申告書の提出期間が、その年の翌年の1月1日から翌年の3月15日までとなり  ました。  改正前は2月16日から3月15日でしたから、還付金を早く受け取れるようになりました。 3.認定NPO法人等に対する寄付金控除制度の拡充  認定特定非営利活動法人に対する寄付金について従来の寄付金控除(所得控除)との選択で、税額控除を受けられ  ることとなりました。  震災関連の寄附を促すための措置ですので、寄附をされた方は是非利用してください。 4.e-Tax 税制の見直し  確定申告を e-Taxで行った場合の電子証明書等特別控除について、控除額を平成23年分は4,000円、平成24  年分は3,000円とした上で適用期間が2年延長になりました。 5.金融証券税制の改正  上場株式等に係る配当等及び譲渡所得にかかる10%軽減税率が2年間延長されました。 なお、給与所得控除の上限設定、特定支出控除の拡充などは継続審議となりました。 所得税関連の改正について詳しく知りたい方は国税庁のサイトもご参照ください。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所

II.嵐の中での船出

「ノーサイド」そして「ミッドフィルダー」。こんな言葉が政治の世界でも用いられるようになりました。「ノーサイ ド」はラグビー、「ミッドフィルダー」はサッカーで使われる用語です。野田首相が諸外国を意識してこの用語を選択 したのであれば、なかなかのセンス?です▲台風による甚大な被害が発生し、名実ともに嵐の中での船出となった新内 閣ですが難題山積の状況に変わりはありません。震災からの復旧・復興が最も大きな課題であることは間違いありませ んが、現下の超円高とどう向き合いどう対応するのか。これまた、大きな課題です▲現在の日本経済は何重苦なのかわ からないほど大きな試練を迎えています。中でも、この超円高はわが国だけでは解決の糸口すら見出すことができない だけに非常にやっかいな問題です▲以前は、この円高をメリットとして生かせという論調がかなりありましたが、さす がにここまでくるとそういうレベルではありません。当然そういった論調も影を潜めてしまいました。円高であれば輸 入品の価格は安くなるはずですが、原材料価格の高騰と相殺されてしまい、そのメリットを享受することもできません 。それどころか、超円高によりその損失は大きくなるばかりです▲9月2日に8月の米国の雇用統計が発表されました が、依然同国の雇用情勢は厳しく、さらにその他の経済指標も芳しくなく景気後退の可能性もささやかれています。こ れを受け連邦準備制度理事会=FRBでも量的緩和策が検討され始めているという観測が強まっています▲欧州に目を 転じても相変わらずの状態が続いています。金融政策はユーロ圏全体で、そして財政政策は各国でという構図から有効 な手を打つことができません。各国の雇用情勢も若年層を中心に目を覆いたくなるような数字が並びます▲欧米ともに こんな状況であるにもかかわらず、物価は上昇しています。ところがわが国はデフレから脱却することができません。 その意味するところは、実質金利=名目金利− 物価変動率で計算されますので実質金利はわが国が欧米に比較して高い という試算もできます。当然、この金利差も円高の一因と考えられます▲企業や個人の努力でこの超円高の流れを食い 止めることは不可能です。当然、政府・日銀の出番なのですが金融政策・財政政策とも画期的に有効な手立てがないの も現実です。しかしながら、地味かもしれないが常に機動的な行動をとることができるような万全の準備が求められま す。と同時に、短期的・中長期的それぞれの視点に立った政策を明示することも望まれます。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

III.Web用商品写真を鮮明に撮るには

ホームページに載せる商品写真等を、室内で撮影する場合、ブレてしまったり実際と違う色に見えることがよくあり ます。 ライティングや置き方を工夫することで、より鮮明な写真を撮影してみましょう。 光量が足りないと露光時間が長くなってブレが発生しやすくなります。 また色も正確ではなくなります。 なるべく多くの光を当てることと、いろいろな角度から当てることが重要です。 多くの光を当てるといっても、フラッシュを直接当てると立体感がなくなり濃い影が落ちたところは色が分かりにくく なってしまいます。 また白く飛んでしまう部分が出てきたりします。 できるだけ自然光や自然光に近い色のライトを使い、レフ板(白い紙を張ったパネル)などで光を反射させ、きれいに 光が当たるようにしたほうが良いでしょう。 露光している間にカメラや被写体が動いてしまうことも、ブレの原因になります。被写体は机の上に置くなどして動か ないようにします。 手で商品を持って撮影する場合は机等に手を乗せて安定させます。 カメラは、三脚で固定します。卓上用の三脚も市販されていますので、目的にあったものを使いましょう。 三脚が無くても、カメラを平らなところに置いて撮影すればブレは少ないです。 リモコンやタイマーを使えばシャッターを押した時にカメラが動いてしまうことも防げます。 あとは画面を見ながら最もきれいに見える角度と距離に調整しましょう。 ホワイトバランス等も切り替えながら何枚か撮っておくと後から使い分けることができますね。

(Webデザイナー)

IV.消費税法の仕入税額控除における             95%ルールの見直し その2

今回の95%ルールの見直しにより、課税売上割合の計算をより厳密に行う必要があります。 95%ルールが適用される場合には、その課税期間中の課税売上割合が100%でも99%でも同様に課税期間中の課税売上げ に係る消費税額から、その課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額の全額を控除できました。 しかし、95%ルールを適用できなくなった場合には、課税売上割合が100%でない限り、その課税期間中の課税仕入れ等 に係る消費税額の全額を控除することはできません。 仕入控除税額の計算は、原則として個別対応方式又は一括比例配分方式により行います。 この仕入控除税額の計算には課税売上割合を用います。 この割合が違えば仕入控除税額は異なります。 結果として納付税額も異なります。 課税売上割合は、総売上高に占める課税売上高の割合です。 分母を総売上高とし分子を課税売上高として計算します。 総売上高は、課税取引(税抜き)と免税取引と非課税取引の合計額です。 課税売上高は、課税取引(税抜き)と免税取引の合計額です。 課税取引は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等で、商品の販売やサービスの提供などによ り消費税が課税される取引です。 免税取引は、商品の輸出売上など外国で消費されるため免税される取引です。 非課税取引は、土地の譲渡や預貯金の利子など課税対象になじまないことや社会政策的配慮から課税されない取引です。 また、不課税取引は国外取引・対価を得ない寄附・単なる贈与・出資に対する配当など、そもそも消費税の適用の対象 にならない取引ですので、分母にも分子にも算入しません。 個別対応方式と一括比例配分方式については、次回触れます。 なお、今回の改正は、平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)

V.国内の雇用問題

依然厳しい円高の影響により、輸出競争力低下を避けたい製造業を中心として生産拠点を海外へ移す企業が増えていま す。 トヨタ自動車においても、ハイブリッド車(HV)のモーターや電池などの基幹部品を中国でも生産する方針を固めまし た。 円高は日本国内の雇用低迷に大きく影響をあたえています。 また、諸外国と比べ日本の法人税率は高く、海外移転の企業が増えている事も雇用低迷を後押ししていると考えられま す。 早急に対処しなければいけない問題です。 先日アサヒビール工場に見学へ行ってきました。 とても大きな工場で神奈川県、静岡県、山梨県全域と東京都多摩市の一部へ配送するビールを製造している工場なので すが、従業員の人数がなんと80人だけなんです。 製造過程のほとんどが機械による流れ作業となっており、雇用が生まれないのです。 機械化が進む事により、さらに雇用問題が深刻になってゆきます。 諸外国においても雇用低迷が社会問題となっている国が数多くあり、暴動化する事態が発生しています。 雇用確保を前提として、これからの企業のあり方が議論されてゆけばと願います。 (朝日新聞9/5記事より)

(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)