II.世界経済の大転換期

▲東日本大震災により大変な試練を迎えているわが国ですが、海外でも異変が起きています。しかも、それがGDP世界 第1位と第2位の国となれば尋常な事態ではありません。米中両国の世界に与える影響力はあらゆる分野において、あま りにも大きいものがあります▲まずは中国の高速鉄道事故。事故発生直後の当局の対応は論外ですが、現地メディアの取 扱い方も従前とは大きく異なっているような気がします。この背景には、来年国家主導者の交代を迎える中国の権力闘争 があるとの憶測もあります▲北アフリカで起こった政変は記憶に新しいことです。当初、中国ではそんなことはないだろ うと言われていましたが、どうもそう簡単に片付けることはできないようです。万が一、この中国で大きな政変があった らそれは大変です。世界情勢はどんなことになるのか想像もつきません▲他国のことをとやかく言うつもりはありません が、やはりこの国も各国が求めているように民主化やGDP世界第2位という経済力に恥じない責任が求められます。一 党独裁の下で進める政策のスピードはものすごいものがあります。しかし、多くの歪みが生じてしまうのも事実です。当 局もおそらく、何らかの方法でソフトランディングを図ってゆくことを模索しているのではないでしょうか▲続いて米国 です。米国債が史上初めて格下げされました。全世界に衝撃が走ったわけですが、米国も来年は大統領選挙の年になりま す。格下げを行ったS&P社は、政治的な混乱を嫌う傾向があることでよく知られてはいますが、今回の債務問題での混 乱は異常でした。無用に過激なチキンレースが繰り広げられてしまいました▲今年は、いわゆるニクソン・ショックによ り金本位制度が終焉して40年になります。米国では他国の外務大臣に相当するポストが国務大臣というなんとも不思議 な国でもあります。ドルを基軸通貨として世界経済に君臨してきた米国ですが、その信認は大きく揺るいでいます。世界 経済の大きな転換期とも言えるのではないでしょうか▲現在の国内事情を考えるととかく内向きになりがちですが、こん なときだからこそ、海外にも目を配っておくことが大事になってくるのだと思います。単に現状だけでなく、その背景や 歴史についても知っておくことはいろいろと学ぶ点が多いのも事実です。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日