I.国外取引で節税したけれど
筑紫哲也氏の遺族が相続税の申告で国外の資産を除外、バイオリニストの諏訪内晶子氏が国外の所得隠しなど国外での
所得や資産に関する脱税や申告もれのニュースを最近よく耳にします。
以前から国外取引を利用した節税方法を紹介する本やコンサルティングなどは多数あり、実際にそれを利用している人
も少なくはないと思います。
税務署にとって外国での所得や資産は把握しにくいといわれ外国での所得を全く申告しない人もいるそうです。
しかし、国税庁もそれを指をくわえて見過ごすほどゆるい機関ではありません。他国と情報交換協定を締結するなど
対策を着々と進めています。
税率が低くタックスヘイブンとされるケイマン諸島国・地域との交渉も進め、英領バミューダとも租税協定が結ばれて
います。おとなり韓国とも脱税防止の協力に乗り出しました。
これまでは相手国からの要請がある場合に限り資料を提供しましたが、今後は国外脱税容疑が出てくればすぐに資料を
交換することになりました。
国外での所得を意図的に隠したとなると、本来の税金の他に追徴課税(無申告加算税、過小申告加算税、重加算税、
延滞税等)が課されることになります。
場合によっては逮捕ということもあります。
また、合法的な節税対策と考えて行った国外取引についても裁判までいって負けてしまう例も多々あります。
国外取引を利用した節税は、法律や条約をよく調べ、リスクを理解した上で行わないと思わぬ損害をうけることになる
かもしれません。
II.制度設計の欠陥を是正するには?
日本経済新聞の一面に春秋というコラム欄があります。この欄に6月下旬にわが国の復興支援のために来日した米国の
人気歌手であるレディー・ガガさんが取り上げられました。連日、あらゆるメディアで紹介され、観光庁長官から感謝
状が贈られるのみならず菅首相も感謝のメッ セージを添えプレゼントを渡すなど、まさに国家をあげての歓迎でした。
さらに、彼女は日本食も大好きなのだそうです。▲その影響かどうかはわかりませんが、農林水産省では「日本食文化
の世界無形遺産登録に向けた検討会」を開催しました。同省によれば、原発事故の影響によりわが国の食・農林水産物
の信認が揺らいでいる中、日本食の価値・向上を図るためとしています。日本食文化については、すでにベストセラー
になっている竹田恒泰氏の著書「日本はどうして世界でいちばん人気があるのか」でも一部触れられていますので、一
読されるのも面白いかもしれません。▲そんな中、政府・与党は社会保障と税の一体改革案を決定しました。 ただ、
閣議決定が見送られたことからも内容は大きく後退したとの批判もあるようです。項目としては、医療・介護、年金、
消費税の三つに大別されています。このうち、社会保障財源を賄う消費税増税については自公両党も以前から理解を示
していることから、税率10%が当面のたたき台になるものと思われます。しかしながら、国際機関からの指摘にもあ
るとおりこの税率はあくまでも当面のものであり、将来的な財政再建への道筋を示すことも難しく、日本政府・日本国
債の信認低下も懸念されます。▲それよりも協議の難航が予想されるのが医療・介護、年金の分野ではないでしょうか。
将来にわたって持続可能な制度であることを標榜するのであれば、もう少し踏み込んだものが欲しかったというのが実
感です。介護は別の課題としても、現行の医療・年金制度が設計された時代と現在では、その状況は大きく変わってい
ます。この両制度は、今日まではつぎはぎだらけの状態でも何とか維持はしてくることができました。どんなに優れた
制度であっても、制度疲労は必ずあります。将来の現実を直視し、それがたとえ厳しいものであったとしてもそこから
目を背けていては良い制度設計はできません。悲観的になれということではありません。楽観的な数字を並べた上での
帳尻あわせであってはならないという意味です。▲以前「自助、公助、共助」が大切だと申し上げたことがありました。
現在の医療・年金制度はこのすべての要素が生かされた制度といってもよいかもしれません。とすれば、高福祉高負担
を望むのか、それとも中福祉中負担を望むのか、それとも低福祉低負担で構わないのかという根本的な議論が抜けてし
まってはいないでしょうか。こういった議論が欠けていては中福祉中負担を目指したにもかかわらず、結局は低福祉高
負担という社会になってしまったということにもなりかねません。日本を支援してくださるのはガガさんだけではあり
ません。逆に、こんな時だからこそ「世界に向かって真の意味で様々な困難に立ち向かう」そんな日本でありたいもの
です。世界もそんな日本を見たいと思っている。と、私は思います。
III.国際エネルギースタープログラム
国際エネルギースタープログラムとは、OA機器の省エネルギーのための国際的な認証制度で、1993年から実施されて
いるアメリカ環境保護庁の規格が元となっています。日本は、1995年から参加しており、近年ではEU、カナダ等でも
実施されています。
OA機器の製造事業者は、基準をクリアした機器について経済産業省に登録を行い、エネルギースターロゴを使用でき
ることになっています。
対象製品は、PCの他にもFAX、コピー機などがあり、登録されている製品は公式サイト で検索できます。OA機
器の導入時にご参考にしてみてはいかがでしょうか。
(Webデザイナー)
IV.交際費等の範囲から除かれる飲食等の費用
法人税法上、得意先・仕入先その他事業に関係のある者等への支出は、支出交際費として「交際費等の損金不算入」の
規定の対象となります。
ただし、飲食その他これに類する行為(飲食等)のために要する費用であって、その支出する金額を飲食等に参加した
者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用については、法人税法上の交際費等から除かれます。
なお、この規定は次の事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。
@飲食等の年月日
A飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係
B飲食等に参加した者の数
Cその費用の金額並びに飲食店等の名称及び所在地
Dその他参考となるべき事項。
ただし、その法人の役員・従業員、これらの親族に対する接待等のための社内飲食費の支出は交際費等に含まれます。
また、5,000円以下かどうかの金額判定は、税抜経理と税込経理で異なります。例えば、一人当たり税込5,200円(税抜
4,952円)の飲食等の費用を支出した場合、税抜経理の場合には、税抜の4,952円で判定するので交際費等の範囲から除
かれますが、税込経理の場合には、税込の5,200円で判定するので交際費等に含まれます。
自分の会社がどちらの経理処理を適用しているかを確認しておいたほうがよいでしょう。
この一人当たり5,000円以下であるかどうかの判定は、例えば、全く別の業態の飲食店等を利用して1次会と2次会な
どの連続した飲食等を行った場合においても、それぞれの飲食等が単独で行われていると認められるときには、それぞ
れの飲食等ごとに一人当たり5,000円以下であるかどうかの判定を行うことができます。
(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)
V.日本の世界遺産登録
先日、岩手県の「平泉」と東京都の「小笠原諸島」が世界遺産に登録されました。
日本の遺産が世界に認められるのはとても喜ばしい事です。
特に平泉は震災の影響を受けていただけに、復興の追い風になればと願います。
平泉は12世紀日本の本州北部において、仏教に基づく理想世界の実現を目指して造営された政治・行政上の拠点であり、
現世における仏国土(浄土)の空間的な表現を目的として創造された独特な事例である事が評価されたようです。
また小笠原諸島は東洋のガラパゴスと呼ばれ、大陸と陸続きになったことがないため、固有の生物が数多く生息して
おり、生態系が豊富で、固有種は進化の過程を表す貴重な証拠になると評価されたそうです。
日本には現在文化遺産が12個、自然遺産が4個、計16個の世界遺産があります。
世界遺産に登録される事により多くの観光客を集客することができますが、その反面観光客が急増する事により自然
破壊、宿泊、交通、生活環境など多くの社会的問題が発生しています。遺産を守りながら観光ができる方法を考えて
いかなければなりません。
美しい景観を大切に守っていきたいですね。
(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)