II.耳の痛い話
「民高政低」という言葉を久しぶりに目にしました。申し上げるまでもなく、現在の国内状況を四字熟語?で端的に
表現することを意図したものです。と同時に、かつてわが国の経済が好調だった頃に「日本は経済は一流だが政治は
三流」とよく揶揄されたことを思い出しました。▲本当にそうだったのか。時代を少しさかのぼってみました。中曽
根元首相の時代です。彼の成果はその評価はともかくとしても国鉄の分割民営化をはじめとして目覚しいものがあり
ました。中曽根元首相は大平元首相を大変高く評価していました。大平元首相といえば、現在の消費税の原型となる
売上税の提唱者という大きな側面がありました。▲その後、中曽根元首相は自身の後継者として竹下元首相を指名し
ました。ここからは、まったくの私の推測になりますが大平元首相をもってしても実現がかなわなかった消費税の導
入を竹下元首相に託したのではないか。数々の懸案を解決していった中曽根元首相であっても消費税の導入は実現で
きなかった。ということかもしれません。▲中曽根元首相といえばレーガン元米国大統領の存在を忘れることができ
ません。レーガノミックスなる政策を掲げ当時低迷する米国経済を回復させてしまいました。ただ、レーガン氏は元
俳優でした。その力量を不安視する米国民も多かったことは想像に難くありません。しかし、なぜ後世に再評価され
る成果を残すことができたのか。これは、米国の政治システムに起因することは間違いないと思います。決定的にわ
が国に欠けている部分です。どうしてわが国では毎年首相が代わってしまうのか。首相を支えるというキチンとした
仕組みがないからです。選挙のたびに国民に心地よいことを公約として掲げ、挙句はそれを放棄してしまう。▲遅れ
ばせながら、やっと日本でも税と社会保障についての本格的な議論が進んでいます。このままの状態を放置すれば、
国家財政の破綻はいずれ現実のものになります。ただし、「税こそ政治」ということは忘れて欲しくありません。大
連立などという手法でその結論を得ることがあってはなりません。それは、政治的な談合に他なりません。かといっ
て、政権交代のたびに制度が代わってしまっても困ります。与野党問の協力は必要ですが、私たち国民にとって耳の
痛いことであってもそれぞれの主張を堂々と議論すべきではないでしょうか。