I.専業主婦の税金と年金

政府は社会保障費の増大などに対応するため配偶者控除の廃止を検討しています。 配偶者控除というのは妻の年収が103万円以下の場合は夫の所得から一定金額を控除できるという制度です。 (逆もあり) また、専業主婦の未納年金についても現在検討中です。 国民年金の第3号被保険者であった妻が、夫がサラリーマンでなくなった後も国民年金の切り替えの手続をしなかっ たために無年金、又は低年金になってしまうという問題について、厚生労働省は国民年金保険料を払っていなかった 期間についても保険料を払っていたとみなして、年金を給付する措置を今年1月に始めました。 しかし、まじめに保険料を払っていた人に対して不公平だという意見に2月には一旦停止となった問題です。 現在検討中の案では、未納期間について10年間遡って納付する事を認める、年金額には反映しないが加入期間には 加算するなどの案がでているようです。また、既に支給してしまった分については返還してもらうが低所得の人には 免除するようになりそうです。 専業主婦に関するこの二つの問題には大きな違いがあります。 配偶者控除については法律が通らないかぎり、誰がなんと言おうが控除を廃止したりすることはできません。一方、 国民年金保険料については法律ではなく厚生労働省の課長通達という形で、年金給付を決めたりやめたりしてしまっ たのです。 こんなことがまかり通っては法治国家とはいえないでしょう。 また、配偶者控除については適用できない人が適用していた場合には、税務署がチェックして、問題があれば税務署 から問い合わせがきます。 しかし、国民年金の切り替え漏れについては日本年金機構(旧社会保険庁)も市町村も何もチェックしていなかったよ うなのです。そもそもきっちり管理できないようなシステムを作ってしまったのも問題です。 政治家も一般の人も税金については、大きな関心をよせますが社会保険についてはそれほどでもないようです。 官僚もそれをいいことに、どさくさにまぎれていいかげんなことをしているように感じます。 でも、社会保険料の負担というのは税金以上に大きい場合も多々あります。 税金だけでなく社会保険についても国会や行政の動きをチェックするとともに、自分の現状についても、きちんと確 認する必要がありそうです。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所