IV.法人税法上の寄附金

この度の東日本大震災により、色々な団体・企業などが義援金等の寄附を募っています。 今回は法人税法上の寄附金について整理してみます。 法人税法上の寄附金とは、寄附金・拠出金・見舞金その他いずれの名義かを問わず、法人が金銭その他の資産・ 経済的利益の「贈与又は無償の供与」を行うこと等をいいます。よって我々が一般に使っている寄附金の言葉の 意味合いよりも広い範囲のものを対象としています。 金銭で寄附等をした場合には、その金銭の額が寄附金の額となりますが、物品やサービスなどの「贈与又は無償 の供与」を行った場合にも、その贈与等を行った時の価額=時価が寄附金の額となります。また、物品やサービス などを時価よりも低い金額で譲渡や供与を行った場合には、その譲渡等を行った時の価額=時価との差額が寄附金 の額となります。 寄附金は、「国等に対する寄附金」・「指定寄附金」・「特定公益増進法人等に対する寄附金」・「その他の寄 附金」に分類され、その分類ごとに法人税法上の取扱いが異なります。 「国等に対する寄附金」・「指定寄附金」は法人税法上全額損金算入されますが、「特定公益増進法人等に対す る寄附金」と「その他の寄附金」は、法人税法上一定の計算により損金算入限度額の範囲内で損金算入されます。 また、平成22年度の税制改正よりグループ法人税制が整備されました。これに伴い、完全支配されているグルー プ内の内国法人間で行う寄附についてはなかったものとみなされます(平成22年10月1日以後の取引から)。 寄附金を支出した法人側はその寄附金の額は全額損金不算入となり、寄附金を受取った法人側ではその受贈益の 額は全額益金不算入となります。 法人が災害義援金等を寄附した場合には、その義援金等が最終的に国等に拠出されることが確認されたものは、 「国等に対する寄附金」に該当し、全額損金算入されることになります。義援金等を寄附する側と募集する側の 両方の取扱いについて、国税庁のホームページや所轄の税務署で確認することができます。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)