II.企業のリスク管理と行政の支援
▲このたびの大規模地震により被災された皆様 、ご家族、関係の皆様に、心からお見舞い申し 上げます。災害時に
は、自助・公助・共助の三つが重要であると強調されてきたにもかかわらず、自助・公助に関してははるかにその
想定を超えてしまったというのが現実のようです。▲大地震の影響は被災地にとどまらず首都圏にも及んでいます。
小欄のテーマとしては適切ではないかもしれませんが、私なりに少し考えたことを書き留めておきたいと思います。
▲第一点は、一部の食料品や日用品の品不足についてです。政府は消費者に対して冷静な行動を呼びかけていますが、
別の視点から考えてみます。スーパーやコンビニをはじめとする小売店は在庫管理を徹底しています。もちろん小売
店だけでなく、生産を行うメーカーその他多くの企業が同様な管理を行っています。経営の効率化という観点からす
れば当然の行動です。なぜならば、過剰な在庫は企業の財務を悪化させるからです。▲とすれば、こういった非常時
には一民間企業が対応することはなかなか困難です。危機管理と合理的な企業経営を両立させるという難しさ。
こういった事態に対して、どう備えれば良いのかという点です。この点については、国・行政の関与=援助が必要で
あると考えます。有効と思われる方法はいくらでもあります。 民間企業をサポートする仕組みを事前に構築して
おくことが重要ではないでしょうか。▲もう一点は、いわゆるライフラインと呼ばれるものについてです。かつて
発生した阪神・淡路大震 災の時とは状況がずいぶん異なっています。特に、携帯電話についてはガラパゴス化など
と揶揄される部分もあるにせよ、機能の進化と活用 方法の変化は目覚しいものがあります。▲わが国では、電気・
ガス・通信などは民間企業がそのサービスを提供しています。しかしながら、今回のような危機的な状況下では、
国の一定の関与についてもルールを明確にしておく必要が あるでしょう。かといって、規制を強化しすぎて様々な
障壁を作ってしまうのも好ましくありません。常にその時代に対応した対策を講じておくべきです。世の中は日々
進化しているのですから。▲政府や特定の企業を批判していても私たちの将来はありません。各分野の専門家を含め
私たちの英知を集結すれば今回課題となったことも解決できるはずです。朝の来ない夜はありません。