I.もしも災害にあってしまったら
この度の東日本大地震により被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
被災地の1日も早い復興を祈念するとともに、 できるかぎりの支援をして行きたいと思います。
日本では地震のみならず、台風、大雪等さまざまな自然災害に見舞われます。 また、火事や交通事故などの人的な
災害にあう場合もあります。
今回は万が一、災害にあってしまった場合についての税務上の手続について考えてみようと 思います。
1.申告・納付期限の延長
災害等のやむを得ない事情のために、申告・ 税金の納付・届出等がその期限に間に合わない場合には、一定の
申請を行うことにより期限の延長の指定を受けることができます。ただし、審査がありますので申請をすれば必ず
延長できるわけではありません。
なお、今回の大震災においては青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県の納税者については自動的に
申告・納付期限が延長されることになりました。
また、上記以外の地域に納税地がある納税者についても、鉄道の運休や停電等により申告・ 納付ができない場合
には「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することにより 期限延長が認められることになりました。
2.雑損控除
災害や盗難により資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
3.災害減免法
災害による住宅や家財の損害金額がその時価 の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得 金額が1000万円以下
のときにおいて、雑損控除 を受けない場合は、所得税が軽減されるか免除されます。
詳しくは最寄の税務署または税理士までお問い合わせください。
II.企業のリスク管理と行政の支援
▲このたびの大規模地震により被災された皆様 、ご家族、関係の皆様に、心からお見舞い申し 上げます。災害時に
は、自助・公助・共助の三つが重要であると強調されてきたにもかかわらず、自助・公助に関してははるかにその
想定を超えてしまったというのが現実のようです。▲大地震の影響は被災地にとどまらず首都圏にも及んでいます。
小欄のテーマとしては適切ではないかもしれませんが、私なりに少し考えたことを書き留めておきたいと思います。
▲第一点は、一部の食料品や日用品の品不足についてです。政府は消費者に対して冷静な行動を呼びかけていますが、
別の視点から考えてみます。スーパーやコンビニをはじめとする小売店は在庫管理を徹底しています。もちろん小売
店だけでなく、生産を行うメーカーその他多くの企業が同様な管理を行っています。経営の効率化という観点からす
れば当然の行動です。なぜならば、過剰な在庫は企業の財務を悪化させるからです。▲とすれば、こういった非常時
には一民間企業が対応することはなかなか困難です。危機管理と合理的な企業経営を両立させるという難しさ。
こういった事態に対して、どう備えれば良いのかという点です。この点については、国・行政の関与=援助が必要で
あると考えます。有効と思われる方法はいくらでもあります。 民間企業をサポートする仕組みを事前に構築して
おくことが重要ではないでしょうか。▲もう一点は、いわゆるライフラインと呼ばれるものについてです。かつて
発生した阪神・淡路大震 災の時とは状況がずいぶん異なっています。特に、携帯電話についてはガラパゴス化など
と揶揄される部分もあるにせよ、機能の進化と活用 方法の変化は目覚しいものがあります。▲わが国では、電気・
ガス・通信などは民間企業がそのサービスを提供しています。しかしながら、今回のような危機的な状況下では、
国の一定の関与についてもルールを明確にしておく必要が あるでしょう。かといって、規制を強化しすぎて様々な
障壁を作ってしまうのも好ましくありません。常にその時代に対応した対策を講じておくべきです。世の中は日々
進化しているのですから。▲政府や特定の企業を批判していても私たちの将来はありません。各分野の専門家を含め
私たちの英知を集結すれば今回課題となったことも解決できるはずです。朝の来ない夜はありません。
III.パソコンの停電対策
デスクトップ型パソコンを使用中に停電になると、入力中のデータが消失したり、機器 が故障する恐れがあります。
データの消失を防ぐためには、作業中のデータを頻繁に保存したり定期的にバックアッ プを取っておくことが一般
的です。 バックアップを取るメディアはいろいろありますので、容量や更新頻度で使い分けると良いでしょう。
CD-RやDVD-Rは一度しか保存しない写真などを保存するのに適しています。
CD-RWやDVD-RAMは何回か書き込むことができるのでデータベースや文書を保存します。
大容量のデータは、ブルーレイディスクやリムーバブルまたは外付けのハードディスクが便利ですが、ハードディス
クも停電で壊れる心配がありますので、バックアップの作業時以外は通電しないほうが無難です。
また、クラウド・ストレージ・サービスを利用して保存することは、停電だけでなく火災などにも強いバックアッ
プになります。
実際に停電になった場合の注意事項としては、 停電が終わり、通電された時に過大な電圧・電流がかかる場合が
あるそうです。そのままパソコンに通電してしまうと電源ユニットが故障し、スイッチを入れても全く動かない
状態になってしまう可能性があります。停電時にはパソコンの電源プラグをコンセントから抜いておきましょう。
もちろん、停電することが事前にわかっている場合にはOSを完全にシャットダウンし ておきましょう。
UPS(無停電電源装置)を設置している場合もバッテリーを点検し、復旧時の操作方法を 確認しておきましょう。
今後UPSを導入される場合は、いろいろな 機種が出ていますので接続機器や運用方法に適 合したものを選びま
しょう。
(Webデザイナー)
IV.実効税率とは
平成23年度税制改正大綱で、国税と地方税を合わせた法人実効税率40.69%を5%幅引 き下げ、35.64%
にするとしています。
この実効税率を5%引き下げるために、法人税率を 4.5%引き下げます。(財務省 平成22年12月16日)
法人税率を4.5%引き下げることで、なぜ実効税率が5%下がるのでしょうか。
地方によって税率は異なりますが、例として、法人税率30%・住民税率20.7%・事業税率 7.56%とし
計算してみます。
実効税率は、
「実効税率={法人税率+(法人税率×住民税率)+事業税率}÷{1+事業税率}」 の式で求めます。
これを式にあてはめると、実効税率は
(0.3+0.3×0.207+0.0756)÷1.0756)=0.406935… およそ40.69%
となります。
この実効税率40.69%を5%引き下げるため、上記の例の法人税率30%のみを4.5% 引き下げ25.5%と
して計算してみます。
実効税率は
(0.255+0.255×0.207+0.0756)÷(1.0756)=0.35648… およそ35.64%
となります。
よって法人税率を4.5%下げることで実効税率がおおむね5%引き下がることになります。
(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)
V.孤立する若者へ
社会から孤立した若者をサポートする相談窓口「にこまる24h」を みなさん御存じでしょうか?
これは合宿型の若者自立支援塾などを経営 する「K2インターナショナルジャパン」と横浜市の協働事業で行われて
いる、若者向けの24時間相談窓口なのです。
仕事もなく、将来に対する希望が見いだせず、ひきこもってしまう若 者が増加している昨今、このような若者を
サポートする相談窓口が果たす役割はとても大きいと思います。「にこまる24h」ではかつて引きこもりを経験
した若者が、自分の経験をもとに相談に乗るという若者同 士の助け合いにより成り立っています。
さらに、若者自立就労支援の場であり、低価で食事を提供する「にこまる食堂」というお店があります。
様々な事情により社会で働くことが 困難な人に就労する機会を与え、サポートしながら、経験を積んで行き社会への
道しるべを作っているのです。そして低価で食事を提供することにより、若者への食のセーフティネットの役割を
果たしているお店でもあります。食材や資金を企業や個人より寄付してもらう事により成り立っているのです。
このような若者を支援する場がもっと増えてほしいですね。社会と無縁になってしまう若者を国全体でサポートする
世の中にしていかなければならないと思いました。 (朝日新聞3/4記事より)
(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)