IV.法人税法・所得税法の償却方法の選定とその変更方法
有形減価償却資産(建物・構築物・機械装置・車両運搬具・工具・器具備品など)の償却方法の選定について整理 します。(鉱業用減価償却資産など特殊なものは省きます。) 法人が会社を設立した場合には、設立した日の属する事業年度の確定申告書の提出期限までに、納税地の所轄税務 署長に償却方法の選定の届出を行わなければなりません。 個人が業務を開始した場合には、業務を開始した日の属する年分の確定申告期限までに、納税地の所轄税務署長に 償却方法の選定の届出を行わなければなりません。 ただし、償却方法の選定の届出をしていない場合には、法人税法・所得税法のそれぞれに定められている法定償却 方法により減価償却を行います。 この法定償却方法は、法人と個人とで償却方法が異なります。 法人の法定償却方法は、建物は平成10年4月1日以後取得のものは定額法(平成10年3月31日以前取得のものは定率法)、 建物以外の有形減価償却資産は定率法です。 個人の法定償却方法は、建物を含め有形減価償却資産は定額法です。 いったん償却方法を選定すると、その償却方法を変更しようとするときは、新たな償却方法を採用しようとする 事業年度開始の日の前日まで(個人の場合には変更しようとする年の3月15日まで)に償却方法を変更しようとする 理由などを記載した「減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出し、承認を受けなければなりません。 なお、償却方法を選定してから相当期間を経過していない場合には、特別な理由がない限り 、承認されないこと がありますので償却方法の選定は慎重に行う必要があります。(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)