II.迷走ニッポン

▲1月24日に通常国会が召集されました。菅首相の施政方針演説については後段で触れたいと思いますが、厳しい 国会運営になることは間違いないでしょう。そんな中、与野党間でのキチンとした論議が行われるのかどうかにわが 国の政治力が試される場面でもあります。▲海外に目を転じてみると、チュニジア・エジプトの政権が崩壊してしま いました。さらに、周辺諸国にも影響は広がり今後の動向を注視しなければなりません。両国のみならず長期独裁政 権が続いている国がいくつもあることを、いまさらながら思い知らされました。チュニジアは、国家としてITの促 進を図った結果が政権の崩壊につながってしまったという点ではなんとも皮肉です。▲わが国の国家戦略は果たして どうなのか。お話を施政方針演説の内容に戻します。菅首相は、国づくりの理念として三つの理念を掲げました。「 平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」の三点です。▲まず、平成の開国についてです。首相 が最も意識するのはTPPの問題についてだと思います 。TPPは米国の世界戦略の一環です。もちろん、その意 図は中国を意識したものです。既に周回遅れとも揶揄されるのがわが国の現状です。情報収集もままならない状態で は、国内議論をまとめることは不可能です。日本がリーダーシップをとることのできないままの参加になるのか、そ れとも起死回生の一手があるのか。▲次は、最小不幸社会の実現についてです。以前も触れましたが私にはこの言葉 がピンときません 。最大幸福社会ならそうでもないかもしれませんが。つまり、一人ひとりが幸福を目指して一生懸 命努力する。けれども残念ながらそうでなかった場合のセーフティーネットを十分用意し、何度でもチャレンジでき る。こういった社会基盤の整備こそ必要ではないかと思うからです。いきなり最小不幸社会の実現と言われても私たち はどうすればよいのかわからないのです。▲しかしながら、この理念の意味する本質は「税と社会保障の一体改革」 を行うということに他ならないと思います 。もちろん重要なテーマであることは間違いありません。ただ、私は若干 の違和感を感じます。税ではなく財政あるいは財政健全化と社会保障という方がしっくりきます。あくまでも個人的 な感想です。▲社会保障の中から公的年金を取り出してみても、その財源のすべてが税ではありません。現行の制度 ではむしろ保険料が大きな財源のはずです。政府・民主党が提唱する最低保証年金についてもその制度設計がよくわ からないばかりかどのくらいの財源が必要なのかさっぱりわかりません。いきなり税と社会保障の問題を議論するの ではなく、国家財政と社会保障の将来の全体像を示す方を優先すべきだと思うのですが。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日