I.さりげなく増税

2011年の1月最初のお給料はもう出ましたか? 16歳未満の扶養家族がいる方は給与明細をよく見てください。お給料の額が同じ場合、所得税が増えている と思います。その分、支給額(振込額)は減っていると思います。 子供手当の財源とするために、一般の扶養親族のうち16歳未満のお子さんの扶養控除額が0円になりました。 また、特定扶養親族のうち、年齢が16歳以上19歳未満の人に対する扶養控除について、上乗せ部分 (25万円)が廃止され、扶養控除の額が38万円とされました。 具体的な例をあげますと、10歳と14歳の二人のお子さんがいるサラリーマンで、社会保険料控除後の月給 が30万円の場合、源泉所得税は平成22年の12月は控除対象の扶養親族が二人なので5,020円ですが、 平成23年1月からは控除対象の扶養親族が一人になり6,600円になります。月額1,580円の手取り の減少ですから年額では18,960円の減少となります。また、特定扶養親族の上乗せ部分が廃止されるこ とからその他の条件が同じ場合、年末調整での還付額が少なくなります。 厚生年金の保険料率も労使合計で16.058%から16.412%に引き上げられます。春には健康保険料 が上がります。 これに加え、来年秋には住民税でも同様に扶養控除額が減額されるので税額が増えます。 一つ一つの増税額は、たいした事がないように感じるかもしれませんがこれら全てを合計し、さらに1年分と なると何万円も手取りが減ってしまうのです。 さらに、配偶者控除の廃止、消費税の増税、給与所得控除の減額なども待ち構えている可能性が高くなってい ます。 知らないうちに手取りが少なくなっていたという事がないようにしっかり税制改革の行方をチェックする必要 がありそうです。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所

II.日本と米国 租税感覚の違い

▲米労働省が1月7日に昨年12月の雇用統計を発表しました。同省の発表によれば、失業率は9.4%と、前 月に比べ0.4ポイント低下し、失業率の面では改善がみられました。▲わが国においては、失業率と有効求人 倍率の二点が発表されますが、米国の場合は少し事情が異なります。失業率よりも非農業部門の雇用者数の 増減が最も問題になります。▲直前に発表された民間会社の雇用統計によれば、雇用者数についてかなりの 増加が見込まれていました。ところが、政府の発表はこの予想を下回りました。市場はこれに反応し、株価は 下げました。民間会社と政府の発表が異なるのは今回に限ったことではないのですが、非農業部門の雇用者数 の増減に注目しているという点では同じです。▲毎月第1週の金曜日に発表される米国の雇用統計は、全世界 の市場関係者が最も注目する指標の一つでもあります。疑問に思うのは、なぜ失業率より非農業部門の雇用者 数の増減が重視されるのでしょうか。▲一般的には、失業率は景気に遅行するという理由からです。失業率よ りも雇用者数の増減のほうが景気に対する感度が高いということになります。市場関係者が景気の現状やその 先を判断するには、失業率よりも雇用者数の増減のほうが適切だということになります。▲もちろん、これは 間違いないことですが少し違った観点から考察を加えてみたいと思います。▲かなり前の話になりますが、国 税局長から「日本人と米国人の納税意識の違い」というテーマでお話を聴いたことがあります。▲米国は移民 の国です。かつて北米大陸へ移住してきた彼らがどのようにしてコミュニティを形成して生活をしてきたのか というお話です。まず、キリスト教徒である彼らは教会をつくります。次は子供たちに教育を受けさせるため の学校です。そして、先住民の攻撃から自分たちの身を守るために保安官を雇うことになります。▲そのため には当然のことながら資金や労働力の提供が必要です。これらの費用をまかなうために自分たちで資金を出し 合う必要がある。そういったことが云々というお話でした。▲わが国の歴史はどのようだったのでしょうか。 古くは「租庸調の時代」から自分たちの生活のためにというよりも、貢ぐものだったという印象がぬぐえませ ん。年貢という言葉自体がそれを象徴しているようにも思えます。もちろん、現在はわが国の税制も確立され ているわけですからそんなことはないはずなのですが、イメージ的には微妙なものがあります。▲これは、お そらく日本人と米国人のメンタリティーにかかわる部分が大きいような気がします。先に雇用統計の問題を取 り上げましたが、米国人の多くは働かないことはキリスト教の教義に反することでしょうし、もっといえばあ りえないことだと言い換えても良いかもしれません。わが国でも勤労は国民の三大義務の一つではありますが、 少し意味が異なっているような気がします。▲自分たちが自主的にお金を徴収し、かつ自主的にその使途を決 定する仕組みと、お金を徴収されよくわからないことにそのお金が使われてしまうという違い。そういうこと なのかもしれません。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

III.地図サイトで道案内

会社に来客があるとき、最寄り駅からの道を分かりやすくお知らせする方法として、地図サイトの道案内機能 があります。 例えばYahoo!地図では、住所検索で中央表示させた場所に「道案内」画面から「最寄り駅からの道案内:地図 中心までの経路を表示」を選択すると、駅の出口からのルートが地図上に表示され、総距離と推定所要時間が 「道案内」画面に表示されます。

画面右上の「この地図のURL」をクリックすると、道案内地図をメールや携帯やカーナビに送ったり、サイトや ブログに貼り付ける機能が使えます。「印刷する」をクリックするとA4サイズで印刷しやすい比率で表示され るので、FAXや郵送の場合に便利です。

(Webデザイナー)

IV.償却資産(固定資産税)の申告の注意点

毎年1月末日は償却資産申告書の提出期限です。 会社や個人で工場や商店などを経営している方や、駐車場やアパートなどを貸し付けている方が、その事業の ために用いている構築物・機械・工具・器具・備品等の固定資産を償却資産といい、土地・家屋と同じように 固定資産税が課税されます。 ただし、鉱業権・漁業権・特許権などの無形固定資産、自動車税の課税対象となっている自動車などは課税の 対象とはなりません。なお「事業のために用いている」とは、所有者がその償却資産を事業として他人に貸し 付けている場合も含めます。 償却資産の申告は、償却資産の所有者が、毎年1月1日現在の所有状況を申告するものです。 申告する資産は、今年の場合平成23年1月1日現在事業の用に供することができる資産のうち、土地及び家屋以 外の有形固定資産で、所得税法又は法人税法の所得の計算上、減価償却の対象となる資産です。また、耐用年 数が1年以上で、かつ所得価額(1個又は1組当たり)が10万円(取得時期により20万円)以上の資産を対象と しています。この申告を行うにあたって注意することが何点かありますが、以下の二点には間違いが多いよう なのでご注意下さい。 租税特別措置法に基づく「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」によりその取得金 額を損金または必要経費に算入した資産は、固定資産税(償却資産)では課税対象となり申告が必要です。 逆に、一括償却資産として処理した資産は、固定資産税(償却資産)では課税対象外ですので、申告の必要は ありません。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)

V.H23年分給与所得者の扶養控除等申告書について

H22年度の税制改正により「H23年分給与所得者の扶養控除申告書」が大幅に変更しています。 内容は以下の通りです。 (1)16歳未満の年少扶養親族の扶養控除(38万円)が廃止。 (2)16歳以上23歳未満の特定扶養親族のうち、16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(25万円)を 廃止し、扶養控除の額を38万円とする。 (3)扶養親族又は控除対象配偶者が同居の特別障害者である場合において、扶養控除又は配偶者控除の額に35万 円を加算していたが、年少扶養親族に係る扶養控除の廃止に伴い、特別障害者控除の額を1人75万円とする措置 に改める。 上記に該当される方は、H23年1月分の給与額より扶養控除の人数に変更が必要です。例えば、配偶者と15歳の子 を扶養としていた場合、H22年までは扶養人数が2人でしたが、H23年1月からは扶養人数が1人になります。源泉 所得税額が変更されますのでご注意下さい。 また来年度も扶養控除等の変更が予想されますので、今後の動向に注目していく必要がありそうですね。

(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)