IV.企業会計と税法   〜別表4・別表5(1)〜

前回、実務ではどのようにして法人税法で規定する所得の計算を行うのかについて触れました。 この所得の計算は、別表4という表を用いて行います。 また、別表4と関連して、別表5(1)という表が あります。 別表4は「所得の金額の計算に関する明細書」、別表5(1)は「利益積立金及び資本金等の計算に関する明細書」 といいます。 別表4は言わば企業会計上の損益計算書、別表5(1)は企業会計上の貸借対照表のようなものです。 この別表4と別表5(1)は、企業会計における損益計算書と貸借対照表の関係と同様に関連性を持っています。 今回は、別表4の加算項目である「減価償却の償却超過額」を例に説明します。 会社が企業会計原則に基づき、確定した決算において車両運搬具の減価償却費として120損金経理しました。 ただし、法人税法の規定に従って計算した税務上の償却限度額は100だとします。 会計上の仕訳は「減価償却費120/車両運搬具120」となります。その結果、減価償却費120は損益計算書に費用と して、車両運搬具120は貸借対照表に車両運搬具の減としてそれぞれ計上されます。 しかし、企業会計原則に基づいて計上した減価償却費120については、税務上の償却限度額は100ですから、 償却限度額を超過する20の部分について税務上の調整をする必要があります。 具体的には、別表4の加算欄にある「減価償却の償却超過額」欄に20と記載し当期利益に加算します。さらに 別表5(1)の「当期の増減」欄の「増」の欄に「車両運搬具」20と記載します。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)