I.どうなる 平成23年度税制改正

あけましておめでとうございます。 平成22年は税制改正について、政府の発言が二転三転することが非常に多い年でした。 法人税減税すると言ったりやめると言ったり、やっぱりやると言ったり。 配偶者控除に所得制限をかけると言ったりやめると言ったり。 減税をするには当然その分の財源が必要になりますし、増税するには当然される側の反発があります。 そこらへんのことを、深く検討せずに行きあたりばったりの案を出しているようにしか聞こえません。 そこには何のビジョンも見えてきません。 少子高齢化が進む中で、医療、介護、年金の費用、少子化対策のための費用が増えることは誰の目にもあき らかです。 そのためには増税しかないことも国民はみなわかっています。給与所得控除の縮小、相続税の課税ベースの 引き上げなど当面は所得が高い人や資産がある人等のとりやすいところからとるようですが、それにも限界 はありますし、いわゆるお金持ちの人への増税は消費を低迷させ景気を悪くする可能性が大きく税収全体を みるとかえって逆効果という意見もあります。 となると、やはり消費税の増税しかないと思います。消費税増税は逆進性(実質的な税負担が低所得者の方 が大きくなること)が大きい、景気が悪くなるという主張もありますが、使途を医療や福祉に限った目的税 にすれば低所得者への再分配もありますし、特定の人だけを対象にした増税よりは国民の理解も得られやす いのではないでしょうか。 税制というのは国の最も重要な政策です。しかも様々な利害関係がからむ難しい分野でもあります。 今年は小手先の対応ではなく、将来のことを見据えたしっかりとした政策を打ちだして欲しいものです。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所

II.描いてほしい「将来の展望」

▲日本のお隣の国である韓国と米国がFTAの締結に合意したことが報じられました。FTA、EPAそして TPPについては、先月号で簡単にその内容や違いに触れました。今回の合意に関しても、両国相互の譲歩が ありました。FTAは基本的には二国間での交渉ですが、お互い譲ることのできない点があるわけですから、 そこが一番の問題になってくるわけです。▲一方、芸能界に目を転じてみると、最近特にK−POPと呼ばれ る音楽分野での韓国勢の日本進出が目につきます。かつての韓流ブームとも少し異なっている印象を受けます。 私も何年か前にK−POPファンになり、よく聴くようになりました。J−POPや英国・米国の楽曲とも異 なり、なんとなく聴き心地が良いのです。▲NHKの番組で取り上げていたことですが、この進出には緻密な 戦略の上に成り立っていることを感じました。さらに、日本にとどまらず他の各国へも進出あるいは進出の計 画が着々と進んでいることも知りました。さながら、K−POPアイドルの輸出といったほうが適切かもしれ ません。▲韓国といえば、出生率が非常に低い国として有名ですし、わが国ほど急速ではないとしても、将来 は少子高齢化が進む国です。国内市場はどうかといっても、人口が5千万人にも満たない国ですから内需に経 済成長を期待するのは難しいのが現実です。▲そこで、韓国は他国の市場に目をむけ積極的な輸出による成長 を目指したのだと考えられます。サムスン、LG、現代といった韓国を代表する企業の韓国国外でのシェアは ものすごいものがあります。しかし、農業分野に犠牲を強いた感があるのも事実です。ここは、政策的にどう カバーするのかが政府の腕の見せ所でもあります。▲翻って、わが日本の場合はどうでしょうか。韓国を見習 えとはいいませんが、戦略がまったく見えてこないというのが現状です。TPPの問題についても、前へ進ん でいる様子は伺えません。▲常に選挙を気にして、国民に耳あたりの良い政策のオンパレードが続きます。 そして、挙句の果てには財源がないから云々ということですべてが中途半端な結末を迎えてしまいます。 たとえ私たちにとって耳が痛い政策であっても、将来の展望が描けるようなものであれば、その政策は支持さ れると思います。▲例えば、消費税の問題についても世論調査の結果を見れば、過半数は将来の税率アップを 容認していることがわかります。私は現行の税制のままでの消費税の税率アップを容認する立場はとりません。 既存の税制をチョコチョコいじるよりも、抜本的な見直しが必要だと思っています。国税と地方税のあり方も 含めてです。あくまでも消費税はそのうちの一つとして論ずべきものだと思います。▲政権交代により与党に なった民主党。その政策の一丁目一番地は地域主権の確立だったと記憶しています。税の問題は、地域主権に 大きくかかわることです。今のように、国から地方へ交付税として単に配分する仕組みが続く限り、地域主権 の確立は不可能だと思います。まずは、地域が独自に税収を確保する仕組みづくりを構築した上で、地域間で 生じた偏在を補正するのが政府本来の役割ということになるのではないでしょうか。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

III.クラウドでスケジュール管理

スケジュール帳やシステム手帳を1月から新しくする方も多くいらっしゃると思います。 今年はペーパーレスにしようとお考えの方にお薦めしたいのが、クラウドコンピューティングを利用したサー ビスです。 身近なクラウドとしては、例えばGoogleカレンダーがあります。 クラウドの場合、データがサーバに一元管理されるので、容量の心配がなく、どこからでもアクセスできます。 予定をまとめてパソコンで入力しておいて、変更が発生したときなどにその都度スマートフォンから修正する といった使い方ができるので便利です。 週単位や月単位の表示に切り替えられるので紙の手帳のように両方に同じ事を書く必要もありません。 もちろん印刷もできます。 また、予定の時間が近づくとメールやポップアップで知らせてくれたり、携帯電話にメールを送るように設定 することもできます。 Googleカレンダーは各国向けにリリースされているので初期設定では日本の祝日が表示されないのですが、 これも簡単に設定できます。 複数のカレンダーを持ったり複数人数で共有したりもできます。ぜひ活用してみましょう。

(Webデザイナー)

IV.企業会計と税法   〜別表4・別表5(1)〜

前回、実務ではどのようにして法人税法で規定する所得の計算を行うのかについて触れました。 この所得の計算は、別表4という表を用いて行います。 また、別表4と関連して、別表5(1)という表が あります。 別表4は「所得の金額の計算に関する明細書」、別表5(1)は「利益積立金及び資本金等の計算に関する明細書」 といいます。 別表4は言わば企業会計上の損益計算書、別表5(1)は企業会計上の貸借対照表のようなものです。 この別表4と別表5(1)は、企業会計における損益計算書と貸借対照表の関係と同様に関連性を持っています。 今回は、別表4の加算項目である「減価償却の償却超過額」を例に説明します。 会社が企業会計原則に基づき、確定した決算において車両運搬具の減価償却費として120損金経理しました。 ただし、法人税法の規定に従って計算した税務上の償却限度額は100だとします。 会計上の仕訳は「減価償却費120/車両運搬具120」となります。その結果、減価償却費120は損益計算書に費用と して、車両運搬具120は貸借対照表に車両運搬具の減としてそれぞれ計上されます。 しかし、企業会計原則に基づいて計上した減価償却費120については、税務上の償却限度額は100ですから、 償却限度額を超過する20の部分について税務上の調整をする必要があります。 具体的には、別表4の加算欄にある「減価償却の償却超過額」欄に20と記載し当期利益に加算します。さらに 別表5(1)の「当期の増減」欄の「増」の欄に「車両運搬具」20と記載します。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)

V.職場に必要なものとは?

不況が続く中、2010年春の大学新卒者の就職率が過去2番目の低さを記録し、就職したとしても3年以内で会社を 辞めてしまう人が35%以上という驚く結果が出ています。また失業期間が1年以上の長期失業者が2008年のリー マン・ショック以来増え続け、失業者全体の4割に迫っており依然厳しい状況が続いています。 就職難の中さらに離職率まで増加しており、企業側にとっても大変な年となりました。 新聞記事である会社の取り組みを目にしました。社員自ら手作りして行事を行い、社員同士のコミュニケーション の場を大切にしている会社です。会社の会長は「日常から信頼関係を深めてこそ、組織は最大限の力を発揮できる」 と話していました。煩わしい人間関係を敬遠する中、信頼関係を大切にし成功している会社から見習うべき事は 多いのではないでしょうか。 今年注目された斎藤佑樹さんが「自分に持っているものは仲間です」と話した言葉がとても印象に残っています。 2011年は明るい年になるといいですね。(12/6付朝日新聞より)

(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)