IV.企業会計と税法 〜法人税の所得の計算〜

前三回で、企業会計原則に基づく当期純利益と法人税法上の所得の金額について、その目的の違いや、金額が どのように異なるのかなどを見てきました。 今回は、法人税の所得の金額はどのように計算されるのかをご紹介します。 法人税の所得の金額は、益金の額から損金の額を控除した金額です。 益金の額とは、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、 無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額です。 損金の額とは、別段の定めがあるものを除き、当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他 これらに準ずる原価の額、販売費、一般管理費その他の費用(中略)の額、当該事業年度の損失の額で資本等 取引以外の取引に係るものです。益金の額と損金の額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と 認められる会計処理の基準に従って計算されます。 実務での所得計算は、「益金の額の合計」と「損金の額の合計」を各々求めるのではなく、一般に公正妥当と 認められる会計処理の基準に従って計算された当期純利益(損失)の金額を基に調整を行います。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)