II.高額療養費と医療費控除

高額療養費とは病院などの窓口で支払う医療費を一定額以下にとどめる目的で支給される制度で、一カ月間に同一の 医療機関でかかった費用を世帯単位で合算し、自己負担限度額を超えた分について支給されます。 つまり高額療養費の対象となるのは、保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額分であり、食費や 差額ベッド代、先進医療にかかる費用、妊娠・出産費用(帝王切開などの保険適用以外のもの)は対象外と なりますので注意してください。 高額療養費の支給申請は本人が行い、「健康保険高額療養費支給申請書」に記入をします。また、入院すること が事前に分かっている場合には、加入している健康保険組合等から「健康保険限度額適用認定書」を発行して もらうことにより、医療機関の窓口負担額を上限額までにとどめる事が可能となります。 医療費控除とは所得税、個人住民税において本人又は本人と生計を一にする親族のために医療費を支払った場合 に適用となる所得控除です。対象となる医療費はとても細かく定められています。 おおまかな基準としては治療に対してかかる費用が対象であり、予防や健康増進に係るものは対象とはなりません。 妊娠・出産費用は医療費控除の対象となりますが、出産育児一時金等を差し引いた金額が対象額となりますので 注意してください。また保険会社からの保険金も同じ扱いになります。保険金が年をまたいで入金される場合は 見込額で差し引く事になります。 このような制度を有効活用して下さいね。

(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美)