IV.企業会計と税法 〜企業会計上の利益〜

今回は、企業会計原則に基づいて計算される利益についてです。 「任天堂の2010年3月期の連結決算は、営業利益が3,565億円。」「スクウェア・エニックスHDの2010年3月期の連結 決算は、経常利益が278億円。」こんな報道がありました。 一口に利益といっても、損益計算書に記載される利益には、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・ 当期純利益があります。 売上総利益とは売上高から売上原価を控除した金額です。一般的には粗利益と呼ばれることも多いようです。 次に営業利益とは売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した金額です。つまり営業利益は、企業本来の営業目 的から生まれた利益です。 その他、預金利息・配当金などによる収入、借入金に対する利息の支払い等、営業外の収益や費用を、営業利益に加 味した金額が経常利益となります。経常利益とは、企業の経常的な活動による利益です。 固定資産を売却して生じた利益や災害等による損失等、臨時的に発生する損益もあります。 これらは特別損益として、上記に挙げた損益とは別に表示されます。 経常利益に特別損益を加味した利益が税引前当期純利益です。 ここから法人税・住民税及び事業税等を差引いた金額が当期純利益となり、企業の最終利益です。 このように同じ利益といっても、単純に「任天堂の営業利益」と「スクウェア・エニックスHDの経常利益」を比較す ることはできません。なぜならば、前者は営業利益、後者は経常利益です。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)