II.蚊帳の外

▲今年も、サッカーのワールドカップで盛り上がったことは記憶に新しいことです。それと同じころにもう一つの ワールドカップ=サミットがカナダで開催されました。そこで確認されたのは、参加した各国とも財政の健全化で した。▲ところが、わが国は除外されました。要するに、「日本は何もしなくて結構ですよ」ということです。詳 しい内容については、内閣府のHPをご確認頂きたいのですが、その理由は「わが国は対外債務が少ない」からで あると報じられました。これは事実です。日本国債のほとんどは国内で消化されているわけですから、他国とは事 情がまったく異なります。▲どうして、ギリシャをはじめとするPIIGSと呼ばれる欧州各国の財政問題がクロ ーズアップされたのかを考えれば、そのとおりかもしれません。各国の国債は数多くを他国が保有しているのです から。首相や日銀総裁は、サミットを無事乗り切って、やれやれと感じたのかもしれません。しかし、日本だけが 蚊帳の外という印象のほうが強くします。さらに、問題はこれからです。▲その後の状況は、どうでしょうか。急 激な円高です。本来は、自国の通貨が高いということは良いことです。しかしながら、現在の日本経済にとっては 歓迎すべき円高なのでしうか。現在の為替レートはどのくらいが適切なのかという論理的な数字も様々示されてい ます。どれが正しいのかは、私にはよくわかりませんが「1ドル70円」という計算もあります。▲この20年を 考えると、政治にすべての責任をなすりつけるつもりはありませんが、さすがに政治の責任は免れることはできな いと思います。どれだけ、首相が交代したのでしょう。昨年は、政権交代が実現したにもかかわらず、さっさと首 相は退陣してしまう始末です。これでは、国家としての中長期的な戦略など望むべくもありません。▲今、私たち の乗っている船は決して豪華客船ではありません。船頭が何人もいてその船頭同士がけんかしている船なのか、そ れとも船頭がいない船なのかよくわからないとっても危険な船です。船にしっかりしがみついているのか、それと も救命胴衣を装着して思い切って海に飛び込んでしまったほうが良いのか。そうは言っても、それもこわいので来 年度の予算編成に期待をしたいものです。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日