I.税務調査はこわくない その2

前回は税務調査の大まかな流れをご説明しました。 税務調査と言うと、脱税の調査かと思われる方もいらっしゃると思いますが、普通の調査の場合には脱税どうの こうのという前に、経理処理が正しく行われているか、税法の適用方法に間違いはないかという観点から調べて いかれる方が多いです。 ですから、日々、きちんと経理を行い、正しい税務申告を行っていれば、税務調査は何も怖れることはないのです。 税務調査によって、経理処理をよりきちんとやるようになった会社もあります。 例えば、税務調査時にわりとよく指摘される事項に売上の計上時期のずれ(いわゆる期ずれ)があります。 売上の計上は引渡基準、検収基準、工事進行基準などいろいろな方法がありますが、税法上は発生主義に基づく 合理的な基準であり、毎期継続的に適用されていればどの方法でもいいことになっています。 ただ、会社によってはその基準が年によってばらばらであったり、費用はあがっているのに収益はあげていないと いう場合もあります。 何年か前の税務調査によってこのような指摘をうけ売上の計上基準を見直したり、売上と原価・費用の関係を はっきりさせるようになり、会社の業績がより明確になったという会社がありました。 もちろん、2回目の税務調査では全く問題はありませんでした。 また、税務調査によって役員や社員の不正が発覚する場合もあります。 SUICAなどのプリペイドカードや商品券などは、支払時に経費にあげる処理をして、その使い道まで管理し ていない会社がありますが、調査ではその使い道まで調査される場合があります。 交通費として請求していたSUICAのチャージ代金で、社員が私用のものを買っていたり、交際費として買っ た商品券が相手先にはわたされず換金されていたなんてことも税務調査で判明する場合があるのです。 税務調査と聞くとなんとなく気が重くなるものですが、会社の経理がちゃんと行われているか税金で調べてもら っていると思えば税務調査も悪いことばかりではないのです。 とはいっても、やはり税務調査は気が重いもの。次回は実際の税務調査への対応についてです。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所