I.税務調査はこわくない その2

前回は税務調査の大まかな流れをご説明しました。 税務調査と言うと、脱税の調査かと思われる方もいらっしゃると思いますが、普通の調査の場合には脱税どうの こうのという前に、経理処理が正しく行われているか、税法の適用方法に間違いはないかという観点から調べて いかれる方が多いです。 ですから、日々、きちんと経理を行い、正しい税務申告を行っていれば、税務調査は何も怖れることはないのです。 税務調査によって、経理処理をよりきちんとやるようになった会社もあります。 例えば、税務調査時にわりとよく指摘される事項に売上の計上時期のずれ(いわゆる期ずれ)があります。 売上の計上は引渡基準、検収基準、工事進行基準などいろいろな方法がありますが、税法上は発生主義に基づく 合理的な基準であり、毎期継続的に適用されていればどの方法でもいいことになっています。 ただ、会社によってはその基準が年によってばらばらであったり、費用はあがっているのに収益はあげていないと いう場合もあります。 何年か前の税務調査によってこのような指摘をうけ売上の計上基準を見直したり、売上と原価・費用の関係を はっきりさせるようになり、会社の業績がより明確になったという会社がありました。 もちろん、2回目の税務調査では全く問題はありませんでした。 また、税務調査によって役員や社員の不正が発覚する場合もあります。 SUICAなどのプリペイドカードや商品券などは、支払時に経費にあげる処理をして、その使い道まで管理し ていない会社がありますが、調査ではその使い道まで調査される場合があります。 交通費として請求していたSUICAのチャージ代金で、社員が私用のものを買っていたり、交際費として買っ た商品券が相手先にはわたされず換金されていたなんてことも税務調査で判明する場合があるのです。 税務調査と聞くとなんとなく気が重くなるものですが、会社の経理がちゃんと行われているか税金で調べてもら っていると思えば税務調査も悪いことばかりではないのです。 とはいっても、やはり税務調査は気が重いもの。次回は実際の税務調査への対応についてです。

(税理士・CFP 廣崎 英子) HP:横浜の税理士 廣崎英子税理士事務所

II.蚊帳の外

▲今年も、サッカーのワールドカップで盛り上がったことは記憶に新しいことです。それと同じころにもう一つの ワールドカップ=サミットがカナダで開催されました。そこで確認されたのは、参加した各国とも財政の健全化で した。▲ところが、わが国は除外されました。要するに、「日本は何もしなくて結構ですよ」ということです。詳 しい内容については、内閣府のHPをご確認頂きたいのですが、その理由は「わが国は対外債務が少ない」からで あると報じられました。これは事実です。日本国債のほとんどは国内で消化されているわけですから、他国とは事 情がまったく異なります。▲どうして、ギリシャをはじめとするPIIGSと呼ばれる欧州各国の財政問題がクロ ーズアップされたのかを考えれば、そのとおりかもしれません。各国の国債は数多くを他国が保有しているのです から。首相や日銀総裁は、サミットを無事乗り切って、やれやれと感じたのかもしれません。しかし、日本だけが 蚊帳の外という印象のほうが強くします。さらに、問題はこれからです。▲その後の状況は、どうでしょうか。急 激な円高です。本来は、自国の通貨が高いということは良いことです。しかしながら、現在の日本経済にとっては 歓迎すべき円高なのでしうか。現在の為替レートはどのくらいが適切なのかという論理的な数字も様々示されてい ます。どれが正しいのかは、私にはよくわかりませんが「1ドル70円」という計算もあります。▲この20年を 考えると、政治にすべての責任をなすりつけるつもりはありませんが、さすがに政治の責任は免れることはできな いと思います。どれだけ、首相が交代したのでしょう。昨年は、政権交代が実現したにもかかわらず、さっさと首 相は退陣してしまう始末です。これでは、国家としての中長期的な戦略など望むべくもありません。▲今、私たち の乗っている船は決して豪華客船ではありません。船頭が何人もいてその船頭同士がけんかしている船なのか、そ れとも船頭がいない船なのかよくわからないとっても危険な船です。船にしっかりしがみついているのか、それと も救命胴衣を装着して思い切って海に飛び込んでしまったほうが良いのか。そうは言っても、それもこわいので来 年度の予算編成に期待をしたいものです。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日

III.ホームページを写真で飾る

デジタルカメラの画素数が増えていくと、写真の面積も当然大きくなります。 例えば、4032×3024ピクセルの写真をPCの画面で表示させる場合、解像度が1600×1200ピクセ ルの画面では部分的にしか見ることができません。大きな写真をそのままホームページに載せると、見やすさや表 示速度が損なわれる心配が出てきます。 そこで、次のような対策をとってみましょう。 ★ 別画面に表示させ、文字やサムネイルからリンクする。   自動的に写真が表示されるのではなく見る人の意思でデータを読み込むのでストレスが少なくなります。   ファイルサイズも表示しておくといいですね。 ★ 縦・横のサイズを指定して縮小表示させる。   写真を加工しなくても好きな大きさに表示させることはできます。ただし送るデータは大量のままです。 ★ 画像ツール等で全体を縮小する。
大桟橋から見た山下公園(縮小)
  上の写真のように、細かいところはつぶれてしまいますが全景を表示させることができます。 ★ 表示させたい部分を適度な大きさに切り抜く。   下の写真は、上の写真から切り抜いたものです。
氷川丸とマリンタワー(上の写真の一部)
上手に写真を配置して、ホームページを飾りましょう!

(Webデザイナー 三嶋 由紀江)

IV.企業会計と税法 〜企業会計上の利益〜

今回は、企業会計原則に基づいて計算される利益についてです。 「任天堂の2010年3月期の連結決算は、営業利益が3,565億円。」「スクウェア・エニックスHDの2010年3月期の連結 決算は、経常利益が278億円。」こんな報道がありました。 一口に利益といっても、損益計算書に記載される利益には、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・ 当期純利益があります。 売上総利益とは売上高から売上原価を控除した金額です。一般的には粗利益と呼ばれることも多いようです。 次に営業利益とは売上総利益から販売費及び一般管理費を控除した金額です。つまり営業利益は、企業本来の営業目 的から生まれた利益です。 その他、預金利息・配当金などによる収入、借入金に対する利息の支払い等、営業外の収益や費用を、営業利益に加 味した金額が経常利益となります。経常利益とは、企業の経常的な活動による利益です。 固定資産を売却して生じた利益や災害等による損失等、臨時的に発生する損益もあります。 これらは特別損益として、上記に挙げた損益とは別に表示されます。 経常利益に特別損益を加味した利益が税引前当期純利益です。 ここから法人税・住民税及び事業税等を差引いた金額が当期純利益となり、企業の最終利益です。 このように同じ利益といっても、単純に「任天堂の営業利益」と「スクウェア・エニックスHDの経常利益」を比較す ることはできません。なぜならば、前者は営業利益、後者は経常利益です。

(企業会計コンサルタント 比留川 益朗)

V.たばこ値上げ

10月1日より多くの銘柄のたばこが1箱80円以上の値上げとなります。 値上げの要因はたばこ税が1本3.5円に引き上げられ、1箱70円分の増税となり、これに加え仲介手数料や消費税も加 わるためです。 たばこの値上げにより禁煙補助商品の売れ行きが増加しているようです。 喫煙率の減少に拍車がかかる中で日本たばこ産業(JT)は無煙たばこを売り出しましたが、これが大ヒットしています。 無煙たばことは火を使わずに煙も出ないもので、タールはゼロでニコチンは微量が含まれているそうです。 使用頻度に応じて1本のカートリッジで半日から1日程度楽しめます。 受動禁煙の心配がないため、周囲に迷惑をかけずにさまざまな場所で使用できるのが人気のようです。 無煙たばこについてJTでは、ニコチンが口に入るので口腔癌の要因にはなると認めており、禁煙推進団体などからは 煙はなくても臭いがあるため喫煙場所を制限するように呼びかけています。 航空会社では無煙たばこの取扱いが異なっています。 JALでは機内での使用が認められており、ANAでは認められていません。 ANAが認めていない理由として「他の電子たばことの区別が難しいため」との事です。 禁煙者、喫煙者が不快にならない対策が今後も必要なようですね。

(ファイナンシャルプランナー 小林 裕美(旧姓:小池))