III.理想と現実 「INORI〜祈り〜」に思う

▲歌手のクミコさんが唄う「INORI〜 祈り〜 」という曲があります。今年リリースされ、大ヒットした曲で すから、ご存知の方も多いかと思います。彼女は、オフィシャルサイトの中で「折る」ことは「祈る」ことだと綴 っています。そして、日本人にとって「折り鶴」は特別な意味を持っていると続けています。▲私事ですが、私の いとこが英国へ看護の研修に行ったことがあります。その時、彼女から何か現地にお土産を持って行きたいと相談 がありました。二人で一生懸命考えた結果は、「折り紙」でした。真夏の暑い京都市内を、「折り紙」を捜して歩 いた記憶が蘇りました。▲帰国後、彼女は英国の方々に京都から持参したその折り紙で「折り鶴」の折り方を教え たと言っていました。皆さんが、大変な興味を持って下さったとも言っていたことを思い出しました。▲「INO RI」という曲の主人公の少女は、広島平和記念公園の「原爆の子の像」のモデルでもあります。そして、その少 女が頭上に高く掲げているのが「折り鶴」です。▲私は、今年の夏が未来の教科書に掲載される夏であって欲しい と願う一人でもあります。米国の駐日大使が広島での式典に参列するということは、以前から報道はされていまし たが、本当に叶うのだろうかと思っていました。もちろん、謝罪の言葉があるわけではありませんが、かつての大 戦での戦死者やその遺族に敬意を表することが重要なことなのだと思います。二度とこうした愚かなことを繰り返 さないためにも。▲ただ、この瞬間にもこの世界のどこかで紛争が起こり、亡くなる人がいるのが現実です。平和 を守るためにコストがかかるのも現実です。たとえ、核を廃絶したとしても、紛争が無くなるわけでもありません 。これも現実です。平和を守るための費用がなくなれば各国の財政事情も大きく変わるでしょう。これは、理想で す。▲どうして、今「核廃絶」の風潮が高まっているのでしょうか。核保有国が、こぞって恐れていることとは果 たして何なのか。これが核心だと思います。決して、私が考えているようなハッピーなお話ではないだろうという のが現実です。しかし、理想を追求するということ。これを忘れてしまっては、何も始まりません。誰かに何かを やってもらうではなく、自分に何ができるのか。これが第一歩です。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所 ブログ:会計事務所の一日