II.違った視点で見てみれば…

 ▲ユーロ圏が大騒ぎです。何がどうなっているのかについては、各メディアが伝えるとおりです。以前、小欄でも  「経済危機下のユーロ圏の危うさ」について触れたことがありました。ユーロ圏は、構成国それぞれが主権国家で  す。そして、今回の経済危機への対応は各国が協調すると合意しました。もちろん、足並みが揃わないということ  も十分わかっていたはずです。各国とも、財政出動を余儀なくされ、その出口戦略も合意されていたはずです。  しかし、その合意が甘かったことが今回の混乱の大きな原因だろうと思います。▲今回の混乱は、ギリシアの財政  赤字問題に端を発したわけですから、わが国のメディアは日本のことについてもこぞって報じます。日本の財政状  態はギリシアよりもはるかに危機的だ云々と。▲そこで、今回は本当にそうなのか、別の視点から考えてみたいと  思います。GDPとGNP。いずれも代表的な経済指標で、皆さんもよく耳にすることと思います。前者は国内総  生産、後者は国民総生産と訳されるのが一般的です。しかし、最近はGDPがもっぱら用いられます。▲GNPは  生産の場所が国内であるか国外であるかを問いません。生産場所が、中国や米国であろうが日本のGNPとしてカ  ウントされます。一方、GDPは日本国内で新たに生み出した付加価値の合計です。生産者や労働者がどこの国の  人であるかは関係ありません。▲例えば、8万円のパソコンをすべて国内で生産された部品を買って作ったとしま  す。この場合、GDPもGNPも8万円です。ところが、日本企業が、海外に工場を移設して、そのパソコンの部  品を現地で生産し、日本に輸入して完成させしたとしましょう。仮に、7万円で輸入したとすると、日本国内で生  み出された付加価値=GDPは、8− 7の1万円です。しかし、GNPは8万円で変わりありません。▲後者の  場合は、会社は儲かるかもしれませんが、国内の雇用につながらないわけですから、日本で働く人は困ってしまい  ます。つまり、日本国内の人々が豊かになるためには、GNPではなく、GDPを増やすことが大事なわけです。  国内の人々という意味ですから、日本人とか外国人であるということは関係ないということも付け加えておきます。  決して、変なメディアの暴論に振り回されてはいけません。危機感がまったくないのも困りますが、極度に悲観的  に成らず、冷静に考えることがもっと重要だと思います。次回に続きます。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所