II.自分が決める!年金の受給額

 今回は、年金について考えてみたいと思います。  「年金」というと、まず初めに、何をイメージされるでしょうか。おそらく、公的年金だと思います。  実際は、年金というもの自体の定義が難しいので、ここでは、公的年金と自分年金という二つに  くくって考えたいと思います。  やはり、まず最初に考えるべきは公的年金です。  以前、生命保険、医療保険に触れましたが、わが国には公的な健康保険制度があります。  保険加入の前に、公的な健康保険制度はどこまで面倒を見てくれるのか?それをしっかり確認して  おかなければなりません。その上で、どんな保険に加入するのが良いのかを考えていくわけですから。  年金についても同様のことが言えます。  ざっくり言ってしまえば年金は三階建てになっています。  その人によって加入する制度が異なりますから、その確認は非常に大事だと思います。残念ながら、  日本の年金制度は一元化されているわけではないので、現在の負担も異なり将来の受給額もそれぞれ  異なります。  ここでは、三階部分に焦点を当てて考えてみたいと思います。どうして、この部分について考えるのか。  一、二階部分は、公的年金の部分ですから個人での選択はできないからです。  この三階部分に企業年金というものがあります。最近、日本航空の再建問題でも取り上げられたので、  ご存知の方も多いでしょう。かつては、適格退職年金という仕組みでした。  しかし、この仕組みは、平成24年をもって廃止されます。それに変わって新しく導入されたのが  確定拠出年金という仕組みです。  どう違うのか?  以前は、企業が年金資金の運用を行い、年金の給付額を保証していました。しかし、新しい制度では、  企業から従業員へ将来の年金の原資となる資金は提供する代わりにその運用は自分でやってくれという  ことになったわけです。  ということは、自分自身で将来の受給額を決めるべくその運用を行わなければならなくなったわけです。  つまりは、このコーナーで取り上げている金融リテラシーを一人一人が高めていかなければならない  時代になったということです。  何度も申し上げますが、このリテラシーがなければ、自分の将来設計もままならないという時代に  なったという現実です。

(財務アナリスト 浦邊 謙佑) HP:ぜいりし.com 浦邊剛至税理士・行政書士事務所