II.金融税制の行方
今年も早いもので、税制の問題が本格的に議論される時期になりました。例年、12月 中旬頃に与党の税制大綱としてとりまとめが行われ、来年の通常国会で審議が行われる ことになります。 私自身も皆さんと同様いろいろと要望したいことがありますが、今回は特に、金融税制 に絞ってみたいと思います。 以前、小欄でも触れたことがありますが、とにかく、複雑。ただでさえこの複雑な税制 が、来年からさらに複雑になる見通しです。 「貯蓄から投資へ」を重要な政策課題にあげる国が、なぜこんなに複雑な税制の仕組み を作るのかまったく理解できません。わずかに期待できるのは、現在の金融危機を背景 に現在の税制を継続してくれることでしょうか。 話は、少し変わりますが昨年9月末に施行された 金融商品取引法では、顧客への周到な リスク説明が義務付けられました。 私は、その説明を受けた経験がないので、よくわかりませんが(実は、受けようとした のだが約1時間、説明に時間がかかるということだったので辞退しました。)税制に絡む リスクがきちんと説明できているのかどうかという点です。 あまりにいろいろな事例が想定されるので、ここで例示することは紙面の関係上、無理 ですが、まず、申告をしなければならないのか。それとも申告しなくてよいのか。 申告をしたために、国民健康保険料が増えたり、医療費の自己負担額が増えたり、配偶 者控除が受けられなくなったり(結果、配偶者の税金が増える)というケースだけは 簡単に想定できます。 さらに始末が悪いのは、事前に計算するのが複雑すぎて困難。 投資で利益を確保したにもかかわらず、かえって税金などが増えて、差引マイナスと いうことだって起こりうるわけです。 とにもかくにも、政策課題を解決するためには、金融所得の一体課税の早期実現を図る べきだと思います。 さらに、例外は除くとしても、確定申告を不要にする制度にして欲しいものです。 ※金融税制の詳細については、以下のWebサイトをご参照ください。 http://www.ぜいりし.com/kinyu1.html(税理士 浦邊 謙佑)