I.事業者の保険加入のメリット・デメリット
サブプライムローン問題を発端とした金融不安により、景気の先行きはますます不透明に
なっています。
そのような状況下、中小企業の経営者のみなさまも業績維持のため大変なご苦労をなさって
いらっしゃると思います。
しかし、必死の思いで出した利益の半分近くが税金として徴収されるのは、心情的にも、
資金繰りの面から見ても辛い時がありますよね。もちろん納税は国民の義務ですし、なるべく
たくさんの利益を出し、きちんと税金も支払たいと思っていらっしゃる経営者の方は多い
とは思いますが、実際問題、キャッシュで支払わなければならない税金の負担感はこのような
経済状況の中ますます大きくなっているのではないでしょうか。
そこで、一度保険を見直しをおすすめします。
保険には万一の場合に備えるもの、節税のためのもの、社員の福利厚生のためのもの、将来の
退職金に備えるもの、債権者への保障に備えるもの、遺族のためのものなど、その目的に
よって加入すべき商品がかわってきます。
保険は預貯金や国債等よりも商品の種類が多く、さらに目的にあわせて設計することが可能
です。また、規制緩和によりいろいろなニーズに沿った保険も次々と出てきています。
もう、保険は入っているからいいよと思われているかたも、保険の見直しをすることによって、
節税やキャッシュフロー改善、従業員への福利厚生などのメリットがでてくると思います。
一方保険はその商品の多様性から、選ぶのがとても難しいものでもあります。一社の保険
販売員の方からはその社で扱っている商品の情報しか入りません。
中立的な立場で保険の選択をしてくれるファイナンシャルプランナーや保険代理店に一度、
相談してみるのもいいと思います。たいがい無料で相談を行っています。
(CFP 廣崎 英子)
II.大和生命破綻!!
かしこく生命保険を選ぶには
大和生命(やまとせいめい)が破綻しました。なぜそんなことになってしまったのでしょう。
その前に先月号でも取り上げた保険会社の有配当の生命保険について再度見ていきましょう。
保険会社は保険料を預り運用します。予定利率は予め決められていますが
①高い利率で運用できた
②保険会社の経費がかからなかった
③保険金支払が少なかった
ことにより予定より利益が多く発生した場合に配当が発生します。
①の利回りだけを返す商品を「利差配当」、配当が無いのが無配当といいます。配当は
保険会社の資金の運用方法により大きく異なります。有配当商品は、「予定」した
保険金・利率に加えてプラスアルファの利益を配当で対応します。このことは金利上昇・
経済環境好転時にプラスオンの可能性があるということですが経済環境の悪化で配当が
望めなくても予定利率はマイナスになるわけではありません。
次になぜ大和生命は破綻してしまったのでしょう。その原因の一因は大和生命の高コスト体質
にあるといわれています。
予定死亡率は基本的にどの会社も同じであるはずです。だとすると、高コストの会社が、
他の社と同様の予定利率や配当の商品を売るには資金の運用で利益をあげるしかない
のです。
そこで大和生命はヘッジファンドやデリバティブなどのハイリスクハイリターンの金融
商品資産の運用を行っていました。契約者の一人が「私たちから保険料を集めてバクチを
やっていたのか」という意見があったのも印象的でした。
そのため最近の株価の大暴落により破綻したのです。
保険会社が破綻しても生命保険の契約者は、保護機構により保障の大部分は保障される
ようになっています。しかし、解約は制限され予定利率も下げられる可能性があります。
生命保険を選ぶ場合には商品だけでなく、会社の財務内容まで見る必要があるといえそうです。
(税理士 浦邊 謙佑)
III.実用化が進む先端技術
今年も、CEATEC JAPAN(情報通信・エレクトロニクスの総合展示会 )が10月に開催されました。
前回は珍しくて注目を集めていた有機ELが、今回は実際の商品や部品に組み込まれたり、照明
などに応用されていました。
国内最大のプラズマディスプレイは150インチまで大きくなっていました。
40~60インチの大型ディスプレイをリビングに置いた状態やホームサーバと接続した場合の使い方
などのシミュレーションも各社展示していました。
自転車で自走するロボットの技術が更に進化し、一輪車で自走できるようになっていました。
興味深かったのは、多くの企業や大学が協力し合って、情報の検索や解析に関する基盤技術を標準化・
共通化していこうというプロジェクトです。
このプロジェクトでは、Web等のデジタルデータだけでなく、人の行動など実世界のデータを集め
て分析する方法を調査・研究し、実際のシステム開発等に応用する実験を行っています。
例えば日々の行動情報を収集し、解析して匿名化を行います。これを利用して、個人情報を保護
したままで、推薦情報の発信などのサービスがより適切に行われるようにする実験が行われている
そうです。
今回は、ロボットがパフォーマンスを見せる派手な演出や、びっくりするような新発明は少なくなっ
たように思われますが、既存の技術が洗練され、確実に実用化が進んでいることを実感しました。
(Webデザイナー)
IV.厚生年金
標準報酬月額改ざん問題の基礎知識
今年9月、舛添厚生労働相が、厚生年金保険料の標準報酬月額記録の改ざんが疑われる事例が
6万9,000件に上ることを明らかにしました。
この「標準報酬月額」に???という方もいらっしゃることでしょう。
今回は、「標準報酬月額」をテーマにしましょう。
標準報酬月額とは、加入者が受け取る給与(基本給の他残業手当、通勤手当等を含めた税引き前の
給与)を一定の幅で区分(1等級~30等級)した「報酬月額表」に当てはめて社会保険事務所で
決定したものです。(ちなみに、賞与は別の計算方法です)社会保険事務所に登録されたこの額を
基礎にして、月々の保険料や将来の年金給付が決まります。
原則、加入時に登録された標準報酬月額が変更されるのは以下の場合です。
①年1回「算定基礎届」を提出したとき(9月分から変更)
②固定的な賃金(基本給、通勤手当等)に変動があった月から3ヶ月間を平均した給与額の等級が
今の等級より2等級以上上下するとき(変動した月の4ヶ月後から変動)
来年内には、全受給者に標準報酬月額等を記した文書を送ることになりそうです。年金の加入履歴は
なんとか記憶、記録を残していた方も、今回の標準報酬月額については、記憶、記録が残って
いるかどうか・・・。
自衛策としては、会社からもらった給与明細は全て保管しておくことでしょうか。
(社会保険労務士・JCDA認定キャリアカウンセラー)
V.ムダな公共事業
先日、東北地方へ初観光に行ってきました。
まず新幹線で盛岡まで行き、その後はレンタカーを借りて十和田湖を目指しました。
ナビで盛岡駅から十和田湖までの経路を検索し、高速道路を利用する経路が一番に出てきました。
しかし、地図で見ると一般道と高速がほぼ平行しています。特に急ぐ用もなかったので、一般道
で行く事に決めました。一般道は土曜日であるのにも関わらず、とても空いていて首都圏とは
大違いだなぁーと思いながら運転をしていました。
少し進むと高速が隣に見え地図と同様、平行して走っていました。高速はがらがらで
通っている車を探す方が大変なくらいでした。
しばらく進むと山が前方に見え、高速はトンネルになり、一般道は山の脇道に入りました。
何もトンネルを作る必要なんてないのになぁーと感じました。
大して一般道と大きく変わる距離ではないように思えたのです。
高速を使うのはおそらく初めて来る観光客くらいなのではないかと思います。
地方に公共事業はもっともっと必要だと言う人がいます。しかし、地元の人が利用するものを
作らなければ意味がありません。空港も全国に約83箇所ありますが、本当に必要なのでしょうか?
もっと他に国の税金をかけるべきではないかと思う今日この頃です。
(FP 小池 裕美)