II.数字に強くなる=数字にだまされない!!

 7月号の?のうち、先月号で検討できなかったものがありますので続けます。「ポイント還元と  現金割引」の問題です。冷静に計算すれば、ポイント還元率=現金割引率であれば、現金割引の  ほうが割引率が高くなります。一応計算してみます。例えば、10万円の商品で20%とします。  現金割引の割引率は額面どおり20%です。一方、ポイント還元では、10万円支払って2万円分の  ポイント。つまり、10万円で12万円分を買ったことになります。計算してみると10万円÷12万円=0.83  ですから、割引率は17%ということになります。簡単なことにもかかわらず、どうして私のような  行動をとってしまうのでしょうか?  実際の店頭での表示はもっと複雑です。「現金割引○%さらにポイント還元」というような感じ  でしょうか。これではすぐ判断ができません。さらにクレジットカードを使用した場合のポイント  も考慮しなければいけません。  電化製品を購入して、そのポイントで旅行に行くなんてことは  今や当たり前です。結局、かなり複雑な計算になってしまうわけです。  前回、「アイフォーン3Gが$199」ということを取り上げました。この199という数字も実は  曲者です。なんとなく、200よりは安く感じますが、本当にそうでしょうか?実は、$180  でもよかったのかもしれません。しかしながら、個人的には、おそらく$180より$199の  ほうが購入意欲がかきたてられる可能性が高いと思います。なんとなく説明しにくい部分はあります  が、買い手側の心理を分析した結果です。よく、調べたわけではありませんが、こういった手法は  研究され尽くされているはずです。  話は、ポイント還元に戻りますが、多くの店舗でポイント還元が定着しています。ということは、  おそらく現金割引を利用する顧客より、ポイント還元を選択する顧客が圧倒的に多いことが予想  できます。ということは、店舗サイドでは、現金割引よりポイント還元の仕組みのほうがより売上を  上げる効果が高いと判断していることにもなります。

(税理士 浦邊 謙佑)