II.国会のデウス・エクス・マキナ

 4月はガソリン税と同様、自動車取得税の暫定税率も失効していました。それが理由かどうかは  わかりませんが、同月の新車販売台数は前年同月比でプラスになりました。自動車の購入を考えて  いた人にとっては、とてもよいタイミングだったようです。  さて、既に皆さんもご存知のとおり5月からガソリン税の暫定税率が復活しました。ちなみに、  私も4月30日に給油をしました。もちろん、マンタンです。私がいつも利用するスタンドは、  比較的空いていましたのでスムーズでした。ところが、帰宅しようと思って自動車を運転していた  ら、道が異常に混んでるではないですか。原因は、ガソリンスタンドに並ぶ自動車の列。仕方が  ないので、沿線にスタンドのない道路を選んで走行し、やっと帰宅できました。  この一月間のドタバタは、なんだったのでしょうか。  とにかく、この国の税制に対する考え方の方向性がまったくわからないと思うのは私だけでしょうか。  今回の暫定税率の失効は、ある意味これからの方向性を決めるよい機会だったのではないでしょうか。  あえて継続するということを選択した理由もよくわかりません。  約2.6兆円税収が減るというのであれば、単年度であれば補う方法はいくらでもあったはず。  そうすれば、地方でもスムーズな予算執行が行えるはずです。  今回、日本で開催されるサミットの最重要テーマは環境問題といわれています。政府与党は、ガソリン  税の暫定税率は環境税のカテゴリーに含まれていると主張しますが、「暫定」という表現がどうも  しっくりきません。環境問題も「暫定」というわけにはいかないと思うのですが。例えば、環境省で  は既に環境税を準備していますし、他国に比べガソリン税が安いというのであれば抜本的に考え直す  とか。もちろんガソリン税を上げろという意味ではありません。  総合的に、この国の将来の発展に寄与する税制というものをきちんと議論して欲しいものです。

(税理士 浦邊 謙佑)

                  ※デウス・エクス・マキナ・・・急場しのぎ、安易な解決策