II.税こそ政治

今年1月8日の朝日新聞朝刊にこんなタイトル(正確には、税こそ政治 税で連立するな)で竹中元大臣 の発言が紹介されていました。まるで、今国会での税制を巡る与野党の激しい対立を予見するかのような タイトルでした。もっとも、竹中氏が指摘した点は別の問題でしたが。 さて、今回のように税制を論点に激しく対立した国会は久しぶりのような気がします。ガソリン税という 私たちに身近な税金ということもあり、わかりやすかったという点はあるかもしれません。以前も触れた ように、暫定税率を維持し延長するのかそれとも廃止するのか、現行の道路特定財源を一般財源化する のか。二つの大きな点がクローズアップされました。道路財源を巡る質疑の中で、この税金の無駄遣いや 官僚の天下りの実態など多くのことが明らかになり、一定の評価ができるのではないのでしょうか。 かつて、年金の問題で多くのあきれた実態が明らかになったのは記憶に新しいところでもあり、税制の 問題でも深い論議を通じて様々な問題点が浮き上がってきました。  一方、この問題に隠れてしまって、あまり論議が進まないテーマもあります。それは、いわゆる金融というか 投資関連の所得に対する税制。「貯蓄から投資へ」という時代に向かわざるを得ない現在、税制面での整備 がかなり遅れているような気がします。 とにかく、面倒すぎる。外貨預金の利息・為替差損益、株式の売買損益、投資信託の売買損益、株の配当金 、投資信託の分配金、さらにはFXの損益などなど。これは源泉分離課税だから・・・、これは申告分離 課税だから・・・、これは、えっと配当所得、それとも利子所得、いやいや雑所得かな。確定申告は必要かな、 いや不要かな。でも、確定申告すると得って聞いたこともあるし、損だって聞いたこともあるしなあ。 といった感じでしょうか。 是非、簡素な一体課税についても整理検討を急いでほしいものです。

(税理士 浦邊 謙佑)