U.みんなに優しい税制改正?

平成19年度税制改正は、3月23日に成立、4月1日から施行されています。 私見ですが、改正?と思う部分もあり、違和感もありますが、本稿では税制改正とさせていただきます。 今回の改正は、主に対象が法人(とりわけ大企業)の減税に結びつく事項が目立ったという印象です。 もちろん、企業の国際競争力をつけるという点では、一定の評価はすべきと思いますが、 その恩恵を受けるのは業績が好調な企業や海外で活躍する企業に限定されます。 その一方で、生活者・家計という視点から見ると厳しいものになっているといわざるを得ません。 この点については、今回の改正事項ではなく、 前の改正で盛り込まれたものが、今年度から施行されるという事情もあるのです。 ここでは、過去の改正について触れてみたいと思います。私見がかなり入りますが、 まず、平成16年度の税制改正において、いわゆる「老齢者いじめ」の税制が成立しました。 その内容は、公的年金等に対する控除額の縮小と老年者控除の廃止でした。 昨年、住民税が高くなり、各市町村に電話での問い合わせが殺到したのは記憶に新しいところです。 65才以上の方が対象となったわけですが、年金以外に他の収入がない方にとっては非常に酷な措置でした。 続いて、平成18年度において、定率減税の段階的廃止が決まりました。 「サラリーマン増税」といわれるもので、今年は定率減税はありません。企業経営者の方にももちろん増税です。 政府は当時「恒久的減税」とコメントしていましたが「恒久的」という意味がよくわかりません。 子供にも意味が説明できそうもありません。さらに、節税目的の会社設立を減らすためという理由で、 適用除外の規定はあったものの(19年度では要件の緩和がありました)特殊支配同族会社(舌噛みそう)の 役員給与について、給与所得控除分は損金算入できないというものが導入されました。 私には、法理論上どうしてこういう法律が成り立つのかよく理解できません。ただの増税じゃん!?

(税理士 浦邊 謙佑)